クルーズプラネットさんの太平洋フェリーを使用した企画「名古屋⇔札幌7日間」を利用しました。
実のところ、2人計100歳を超える私達夫婦だと他にもお得な割引特典があり、クルーズプラネットさんにお願いするよりも個人で予約した方が更に安上がりだったのだが、クルーズ旅行の予約とキャンセルを4度も繰り返していることもあり、お詫び半分、応援半分でそのまま企画に乗っかる事にした次第である。 【仙台港着岸中の「いしかり」。苫小牧行きの人でも、仙台では2時間程度の一時下船が可能。徒歩or路線バス圏内にイオンや三井アウトレットパークあり】
この旅程は名古屋を出港後、仙台を中継して2泊掛けて苫小牧に入港、2泊札幌に滞在後、再び2泊掛けて名古屋に戻るというもの。
要は2/3は海上に居る訳で、まさにクルーズに近似した船旅気分を味わえるというものだ。
さて、太平洋フェリーは如何なるものか。
長距離カーフェリーは過去の【さんふらわあ】以来2度目の乗船となるのだが、太平洋フェリーは、「フェリー・オブ・ザ・イヤー」創設以来29年連続受賞している海運会社である。
1回目から29年連続とは…この賞自体が意味を成すのか疑問ではあるが(苦笑)、とにかく評価が高い事は間違いない 。
今回は車は持ち込まず、徒歩乗船を選択、ノンビリまったり北海道旅行を決め込む事にした。
【「きそ」「いしかり」は、2泊3日のピストン運航なので、上下航路とも、同一時刻に相互に反航する「撮影タイム」が得られます】
今回往復で乗船する「きそ」「いしかり」は、日本の内航フェリーのラインナップの中では五指に入る大型船である。
クルーズ船「にっぽん丸」と比較すると、
●にっぽん丸:22,500ton 全長167m
●いしかり・きそ:15,800ton 全長200m
排水量がにっぽん丸より少ないが、旅客デッキ3層のみと、残りは車両貨物室というシンプルな構成の為で、逆に全長はにっぽん丸よりずいぶん長い。
台風発生や進路との常ににらめっこではあったが、恐らく波高4m程度までなら走破力に不安はない。
さて、この記事では旅道中のレポートを訥々と語る気は毛頭なく、結局のところ今回のフェリーの旅はクルーズ旅行に準じた快適なものだったのか、を皆さまにお伝えするのが目的である。 【「きそ」の三層吹き抜けエントランス。感動、とまでは言わないが、近代フェリーの「フェリークルーズ」意識強化に感心します】 【こちらは「いしかり」の吹き抜け。同型船ですが、「きそ」がシック、「いしかり」がモダンでライトな内装デザインと違いがあり、竣工年の違いを感じます】
■今の世情での船内設備やイベントは…
予め分かっていた事だったが、軽食ラウンジでの食事提供は感染症対策のため中止(バイキングレストランは営業)。
船内のライブやピアノ演奏なども中止。
唯一シアター(ショーシアターではなく、いわゆる映画館)のみ上映。
ただでさえ船内イベントの少ないカーフェリーなのにこれは感染問題も収束しつつある中、かなりガッカリな判断だったかと。
そもそも軽食ラウンジでの食事提供を中止しても、結局バイキングを選択しない乗客が食糧を持ち込んで酒盛りを始めてしまうので、感染対策だけにフォーカスするとリスクは同じかむしろ悪い(係員が常駐していないので、テーブルなどの除菌対応等が皆無)。
激しいライブショーはムリにしても、静かに曲を奏でるピアノ演奏などは上演してもよかったのでは、とも思う。
【「きそ」のプロムナードラウンジ。本来はカレーなどの軽食がオーダーできる場所であるが、感染対策の事情により、単なる休憩&飲食の場】
しかしながら「逆読み」をすれば、2019年以前の乗客需要の回復にはまだほど遠く(客が決して多くないのは、船内を見渡せば分かる)、イベント実施は経費を圧迫するサービスなので、感染対策を体裁の良い中止の口実に使っているのでは、と思えなくもなく、その点は勝手に同情しておきたい。
因みに大浴場やショップはオープンしており、他の規制としてはマスク着用のお願いのアナウンスがあるのみで(実際は神経質に常にマスクしている人は5割程度か)、アルコールも摂取自由w、食事場所の制約も無し、乗船時以外には都度都度検温や消毒を求められる事もなかったという事と、シアター上映の映画は「業務用」であり、まだ一般配信されていない(もしくは有料配信)最新のものが上映されている事を付け加えておく。 【両船共大浴場が実装されております。酔い覚ましの意味でも1日2回程度利用してました】
■今回利用した「特等洋室」について
全グレード12種の内、上から4番目の「特等洋室」。
これ、私達夫婦は100歳割引を使うと、片道2泊3日の名古屋→苫小牧が、¥22,500/人なので、極めて価格価値が高い☆
また部屋も約18㎡はあると思われ広々としている(セレブリティ・ミレニアムのバルコニー部屋床面積は15.7㎡)上に、バスタブ+ジャパンスタンダードの「ウェシュレット・トイレ」実装(笑。
クルーズ船との違いは、ビジネスホテルの域を脱していないレイアウトの為、収納区画が機能的では無いところくらいだろうか。
【「きそ」の特等洋室。素っ気ない作りだが、クルーズ船あるあるな"足元窮屈感"などは皆無】
【やはり「きそ」に対しモダンな色合いの「いしかり」の特等室。そして私は洗浄式トイレが無いと生きていけませんw】
■航走性能や船体構造など
クルーズ船が巡航18kt前後とすれば、太平洋フェリーは21kt程度で走るので当然速さに比例して波の影響による船体動揺は体感しやすい。
また、防音や制振構造もクルーズ船ほどコストを掛けていない筈なので、就寝時も軽く振動を感じる事になる(それが気になるかどうかは個人差あるでしょう)。
2005年竣工の「きそ」と2011年竣工の「いしかり」を往復で利用したが、船齢の長い「きそ」の方が構造の劣化か、はたまたプロペラシャフトが偏心しているのか、振動騒音は高かったように思う(但し、少なくとも私の部屋については不快に感じるレベルではなかった)。
また、クルーズ船よりも比較的アスペクト比(全長/全幅の比。値が大きいほど走りが良い)が大きいので凌波性も高く、クルーズ船よりも低重心なので復元力も優秀であった。
【お約束の「航跡をボーっと眺める」。クルーズ船と違いアッパーデッキは極めて開放的なので、強烈な向かい風の洗礼を常に浴びるので留意】
因みにクルーズ航海日数累計37日の内、1日しか船酔いしなかった連れでしたが、今回のフェリーでは2日目に早くもダウン(苦笑)。
幾ら走りがよい、凌波性がよい、とは言え、15,000tonと過去乗ったクルーズ船55,000~130,000tonと比べてはいけない。
「海を舐めるな、酔い止めを飲め。」と常日頃言っているのに、酔った後に薬を飲んでも「後のカーニバルクルーズ」ですwww
それでも残りの行程は体が慣れたのか酔ったのはその1日だけだった様です(ちゃんと酔い止めは飲ませましたb)。
因みに私は酔い止めの代わりに、朝6時から夜10時までずうっとアルコールを飲んでおりました(爆
■ちょいと鼻についた事
バイキングはモーニングとランチが食べ放題で¥1,100、ディナーバイキングが¥2,200と、ヘタに豪華な弁当を買って乗り込むよりも是非利用すべきである。
【焼酎のつまみセット的な(笑)。この後、麺類やらカレーやら食べる食べる!ww】
また、ミニうどんやミニラーメンなどの”汁物”は侮れない。カレーも然り。チキンナゲットやカツ、牛肉を自在にトッピングすればオリジナルカレーなども作れる。 【「いしかり」のレストラン〚サントリーニ〛。内装デザインが名前負けw 全乗客の内、4割程度利用の印象】
ただ気になったのは、「いつまで不潔な使い捨て手袋利用を強要するのか。」である。
これはフェリーに限らず、ホテルのバイキングでも気になった事案。
手指消毒の後、使い捨て手袋を装着して下さい…など、思考停止も甚だしい。
バイキングで元を取ろうかと言わんばかりに一度手にした手袋を何度も使い回している乗客も多いので、不潔極まりない(自分の生の手ではないので、手袋に少々食べ物が付着してもさして気に留めない)。
「入退時に手指消毒、トングは素手で差し支えありません。」これが正しい感染対策というもので、手袋の使い回しなんぞ”もってのほか”です。
【「使い捨て手袋」。『毎回新しいのをお使い下さい』と徹底されていれば納得もするが…】
■海象によるリスク
私達が/15(木)苫小牧→9/17(土)名古屋で帰路に着くその頃、既に台風14号が九州の南に接近しておりましたが、「17日の御前崎~伊良湖はババ荒れだが航行に支障はないな。」と予想しておりました。
で、果たしてその通り、無事に予定時刻に名古屋入港を果たしましたが、太平洋フェリーのHPでは、9/16(金)以降の苫小牧発の欠航が発表されており、結局南下航路は、9/19(月)まで欠航…
そう、帰路が1日ズレていれば、北海道に5日間足留めを喰らっていたか、余計な出費を強いられ新幹線などで帰る事になっていたのです。
北海道滞在時は涼しく晴れやかな天候に恵まれたし、ギリギリ台風も避けられたし、何ともツキがあった、というオチでした。
【名古屋航路は、クルーズお約束の「迫力の橋の下潜り」も味わえます。画像は「名港トリトン」】
■まとめ
総合的に評価するならば、太平洋フェリーの旅は「あり」でした。
「夜出発して朝には到着」という西日本に主にみられる航路では、楽ではあっても船旅と言う視点では物足りない。
ですが、太平洋フェリーの名古屋⇔苫小牧航路は、「夕方出発し1泊、昼に仙台を経由して1泊し、3日目に到着」という、昼の間も続航してくれるので船旅気分を大いに満喫できる。
但し、前述した通りアクティビティというのは皆無なので、ボーっと過ごすのが苦手な人は船上での自分なりの楽しみ方をしっかり用意しておく事でしょう。
なお、この航路でより満足度が高まるのは、「船内イベントやラウンジが従来営業に戻る事」であるし、「やはり北海道観光は自家用車を積むべき」だったかな、と思っています。 【私の愛車は車高が余りにも低く、抑揚あるフェリーの昇降は苦手なので断念…(苦笑)】
以上、長距離フェリーによる船旅のレポートが、ご興味ある人の参考になれば幸いです--------------------〆 【同型船である「きそ」「いしかり」の違いを見つける点は多くありませんが、船名の他に、ファンネル後部の色に違いがあります。こちらは「きそ」】
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