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船酔いのメカニズムとクルーズ船で酔いにくい位置とは

シリーズ  クルーズ船内あるあるw

実際私がボート釣りしている時の揺れっぷり。これでも「ベタ凪」
Photo: 実際私がボート釣りしている時の揺れっぷり。これでも「ベタ凪」

 まぁ、このBlogを読んで頂いている方はクルーズ旅行練達者、そして適正者の方が多いでしょうから船酔いにも強いとは思いますが、自分は強いと思っていても例えばフェリーに乗り換えてみたら酔ってしまったりとか、通船のテンダーボートに乗った途端瞬殺で船酔いを経験したという人もいると思います。

 私は成人になってからどんな種類の船やボートに乗っても、そしてどんなに揺れてもほぼ酔わないのですが、12年前ににっぽん丸に乗った時、僅か数時間の間ですが、ベタ凪でほとんど揺れていない状態なのに微妙な長周期の僅かな揺れに官能したせいか、船酔いを自覚しました(まぁ「なんとなく胃が気持ち悪いかなぁ…」という程度の症状で治まりましたが)。

 「船酔いしない人に船酔いの辛さは分からない」とはいいますが、私は職業柄、間近で船酔いしている人を相当数見ており、船酔いしないからこそ彼らの状況を冷静に観察でき、そして「船酔い低減」というのは今の私の仕事上の重要なテーマにもなっています。

 総論を真面目に書き出すと一つの論文になってしまうのでこの記事ではテーマを絞り、「船酔いのメカニズム」と「クルーズ船の何処にいると酔いにくいのか」を解説したいと思います。

【船酔いの決定打は「上下動」】
 副次的要因(寝不足や空腹、臭いなど体調や精神面の不安から引き起こす船酔い)を除外した場合の船酔いは一般的に「揺れ」と言われていますが、厳密にいうと「上下動」が主因です。
 人の三半規管には、前後の動き…歩く、走る、車や電車に乗って移動する…は日常生活でインプットされています。 そして左右の動き…人とすれ違う時に横に避ける、自動車や電車でカーブを曲がる時に横Gを感じる…も日常でよく体感します。
 ですが、極端な上下の動きというのは上記に比べて日常生活での体感頻度は一般的に少なくなります。

 高層ビルの高速エレベーターで気持ち悪くなる人や、乗り心地がフワッフワの路線バスに乗ると乗り物酔いしてしまう人を見た事がありませんか。
 それは日頃三半規管が受け付けていない上下動をインプットされてしまうため、脳が自分のポジションを把握できなくなり、混乱してしまうのですね。

 船酔いした時ってベッドに横になって休む人は多く、またしばらく横になっていると少し症状が回復する人っていますよね。
 あれば寝る事で「船の上下動が寝ている人にとっての前後動になる」、横向きに寝ても「船の上下動が人にとっての左右動」になるからなのです。

【高層デッキほど酔いやすい、低階層は酔いにくい…は正しくない】
 「高いデッキの方にいた方が揺れが大きいので酔い易いのではないか」と思う人が大半だと思いますが、船酔いの主因が上下動という事を踏まえると必ずしもそれは正しくありません。

 下図は例えば正面から大きな波を受け続け、前後に揺れている状況を示したものです。
 船の揺れ易い揺れ難いには、浮心や重心の説明が必要ですが、ここでは割愛し、「船には回転中心がある」とだけ申し上げておきましょう。
 そして、船はその回転中心を、文字通り中心軸として揺れます。  「1」と「2」は、階層高さはほぼ同じですが、上述の通り船は回転中心を軸に揺れますから、「1」は上下の大きな揺れ、「2」は前後の小さな揺れとなり、且つ上下の変化量が違います。
 どう見ても「1」の方が船酔いしやすい揺れなのが一目瞭然です。
 また、低階層だから揺れないかというと、「3」の様な船尾側だと、やはり「1」に準じた様な動きとなり、上下動揺は大きくなります。
 前部高階層や最後尾客室って結構スイートルームだったりしますが、部屋は豪華で広くても残念ながら揺れます(笑

 「じゃあとにかく回転中心に近い高さにいた方が揺れ難いんだな」と、なりますが、船体には「幅」というものがあります。
 下図の通り、回転中心に近い高さでも船幅方向の端部「2」にいれば、今度は横揺れ時の際の上下動が大きくなります。
 逆に中心軸より随分高い位置にいても「1」の様に船幅の中央付近にいれば揺れ角度は「2」と同じでも高さ方向の上下変化量は少なくなるので「酔いにくい場所」となります。  私の連れは前回のダイヤの乗船の時、上層階にいても平気なのに、下層部のインターナショナルダイニングの窓際に座ると「少し気持ち悪い」と言っていました。
 まさしく上図の様な理由で船酔いを誘発していたのですね。

【「船酔いしにくい」にフォーカスした部屋選びとは】
 「上下動の少ない部屋選び」に特化すれば、「回転中心の高さに近い上に船幅方向でも中央付近のインサイド部屋」となります。
 しかし船酔いと言うのはここで割愛している「副次的要因」も多くあります。
 窓が無くて景色が見えない上に圧迫感があるとやはり三半規管が異常を感知して船酔いしてしまうかもしれません。
 なので、「上下動が極力少ない」という船酔いの主因低減に加え、「景色が見れる解放感」「フレッシュな空気が吸える」という視点で部屋を選ぶなら、「船を横から見た時の回転中心の真上付近のバルコニー付きの部屋」がベストでしょう。
 船は上層階になるほどに横幅が絞られる傾向にあります。全幅が絞られる=船幅の中央付近に近付く訳ですから、回転中心の上部であればデッキ階層はむしろ高い方が上下動揺は小さくなると言えるかもしれません(「かもしれません」と言っているのは、最新鋭のクルーズ船は上階層になっても幅を絞らず、上から下まで全幅一定の船も少なくないからです)。

 尚、一番大事なのは「今度乗る船の回転中心って何処よ!?」を見極める事ですが、「この船の回転中心はここです!」なんて表示されているクルーズ船はありません。
 でもご心配なく。
 大体どんなクルーズ船でも、船尾を0、船首を10割と分割すれば、3~5割の間が回転中心で間違いないです。なのでその間の部屋を選べばよいでしょう。

 因みに前回乗船のダイヤの部屋はB634、デッキ11の中央よりやや船尾よりのバルコニールームでしたが、3つの台風と喧嘩しながらの大時化の航程なれど全く揺れませんでした。
 逆に前々回のタナボタスイートルームは同じくデッキ11の最前列のプレミアムスイートでしたが…まぁ睡眠不足に悩まされる程の酷い揺れでしたね。
 お金持ちになってスイートルームを購入できる身分になっても、あそこだけは絶対イヤだなーwww

 以上、ここまで読み進めて頂いた皆さま、誠にありがとうございます。

船酔いに関する丁寧なご考察、大変参考になりました。
私も小型船に結構乗っているので、滅多な事では船酔いしないと思っていますが、先日乗船した「にっぽん丸」では荒れ模様の海で軽い船酔いを感じました。
回転中心よりも船尾に近い上にエンジンの振動を感じやすい下層階の部屋だったのが原因のようです。
今更遅いのですが、上層階の部屋を自由に選べる財力が有れば、と思っています。

junさん、コメントありがとうございます。
 船尾側は衝撃を喰らう向かい波よりも後ろから船を追いかける「追い波」では上下動が大きくなって船酔いを覚える人もいます。
 ただ「エンジンの振動がなんか嫌だなぁ…」とか副次的気分的要因だったのかもしれませんね。
「気分」って結構大事で、私の知人には桟橋に係留されて僅かに揺れている船を見てるだけで乗船前から船酔いする人もいます(笑)
 プラセボ(偽薬)的な自己暗示も効きますから、次回にっぽん丸に乗船する時は「にっぽん丸のショコリキサーは船酔いに効く!」と自分に言い聞かせて楽しんでみては如何でしょうか
( ´艸`)

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