新型コロナウイルスによる肺炎がプリンセス・ダイヤモンド号だけの騒ぎではなくなって、コスタのクルーズ船が上海での修理を止めて三菱重工長崎造船所香焼工場に4隻も来たり、飛鳥Ⅱも公衆衛生上の観点から3月と4月出発のクルーズを中止すると発表しました。
もっとも、飛鳥Ⅱのクルーズ中止には改装工事を行っているシンガポールでも肺炎が発生して工事が一時中断し、進捗が思わしくないという裏事情もあるようですが、どちらにしても肺炎の影響がクルーズ業界だけでなく旅行業界全体に広がってきました。
そんな時期に何ですが、クルーズは、本来、体調不良でも楽しめるものと思うので体験を書いてみます。
私が体調不良だったクルーズはツアーで行った6年程前のクイーン・エリザベス号アドリア海クルーズです。
出国までは問題なかった体調に異変が感じたのは前泊のローマのホテルに着く前後。
どうも熱っぽいし食欲もない、と思ったのですが、十数時間も乗った飛行機の疲れからだろうと考え、持参した風邪薬を飲んで寝たのですが翌朝になっても体調は変わらずでした。
ただ、その時点では微熱があって体が重く感じるものの歩けないほどではなかったので風邪薬をさらに飲み、午前中は市内を見物してから、ツアーバスでチビッタベッキア港に行きましたが、到着直前、強い尿意を感じて大慌て。
もともと前立腺の持病があるため頻尿気味ではあったのですが強さが違っていたので、バスがクルーズの受付場所に着いてスーツケースを渡されると直ぐにそれを妻に託して、ツアーの皆さんが乗船受付に進むのを横目にトイレに駆け込みました。
おかげで難を辛うじて逃れたものの尿を見ると血が混じっていてまたビックリ！
これはマズイ、ただの風邪ではなく尿道か膀胱に炎症を起こしたか？と判断しましたが、今後の事は取り合えず船に乗ってから考えようと乗船手続きを終えて船の部屋に入ると同時にベッドイン。
全員参加の避難訓練には何とか参加し、夕食まで眠って起きると少し回復した気がしたのでディナーに行ったのですが食欲はゼロ、折角の料理を数口食べただけでディナータイムを終えると直ぐに部屋に戻りました。
そこで海外旅行時にいつも持参する薬袋の底を漁ってみると、幸運？なことに数年も前に患った痛風の治療に貰っていた消炎剤の飲み残しを見つけて風邪薬と一緒にそれを飲み、そのまままたベッドイン。
2日目の終日航海日の朝起きると消炎剤が効いたのか症状が少し緩和した感じになっていたものの調子は上がって来ないため朝と昼の食事だけはベッドから這い出して軽く食べに行った以外はほぼベッドの中にいて体力の回復に努め、ドレスコードがフォーマルだったディナーには何とか行けました。
ちょうどその日が終日航海だったのが幸いした訳ですが、部屋がバルコニー付きだったため見どころであるストロンボリ火山島沖やメッシーナ海峡通過時にはベッドから這い出て眺められたことも気分転換になって良かったです。
そして、3日目、ギリシャのコルフ島に着いたときには大分調子が上がってきていたので、午前中の島内観光には付き合えましたが、体調が本当に戻った訳ではないため、市街観光を最小限の時間にとどめ、早めに帰船してまたベッドに入りました。
4日目のモンテネグロのコトルでも同様で旧市街の街歩きはしたものの山の中腹にある聖母教会まで登るのは無理と判断して早めに帰船し、夕食までほとんど寝ていました。
その結果、何とか体調が回復してゆっくり観光できたのは5日目のクロアチアのドブロヴニクからでしたので折角の豪華？クルーズも十分楽しめなかったのですが、逆に考えると、少し歩けばレストランに行って食事が摂れましたし、帰船すれば直ぐに寝れるという安心感から名所旧跡の観光をできたのはクルーズだったからでしょう。
バスや列車を使う普通のツアー旅行だったら本当に倒れていたかも知れません。
最後に、体調が悪いなら何で医務室に行かないの？という至極当然な疑問にお答えしますと、最大の問題は私に症状を説明できるだけの英語力が無いこと、次に、ある程度の各種の薬を持参していたので診断料が高そうな医務室を敬遠したこと、そして、船の医務室なんて学校の保健室に毛が生えた程度の設備で医師も半分食い詰めた老医師か観光が好きなアルバイト気分の医師だろうと勝手に思い込んでいた事でした。
なお、医務室に対する思い込みは、６日目の終日航海の日に参加した有料の船内舞台裏見学会で全くの誤りであることが分かりました。
日本人スタッフの方の説明によると医療スタッフは複数の医師と数名の看護師で構成されており、全員、一般的な病院より厳しい基準で採用された方々で設備も軽度の手術なら可能なレベルかつ隔離できる病室も有るとのこと。
実際に覗かせてもらった医務室も私が掛りつけている医院より広いうえ清潔感があって設備も充実してそうでした。
コメントを投稿する
コメントを書く