新潟港は信濃川の河口に開けた港町。
ドゥロスはその河口のなかでもいちばん海に近い山の下埠頭に停泊していました。ちょうど北海道航路の新日本海フェリーのターミナルのとなりになります。
新潟の中心地からレンタサイクル(3時間100円!)で20分、天気がいいせいか平日だと言うのにたくさんの見学者で賑わっていました。
ここでこの船について簡単におさらいします。
1914年(大正6年)にイギリスの貨物船メディナとして完成、二つの大戦を生き延びた彼女は1948年にパナマ船籍のイタリアの貨客船ローマに大改装。この時スチームエンジンからフィアット製のディーゼルエンジンになっています。
さらに1952年にコスタラインに転売されフランカCと改名し定期客船と使用された後、ほぼ現在の姿に改装され主に地中海をクルーズしていました。
その後解体されるところをドイツのキリスト教慈善団体に救われ、現在の浮かぶ本屋さんとして世界中を周っています。
以上、ほんっとに簡単(笑) 超手抜きです。だって長くなるんだもん。
もっと詳しくお知りになりたい方は恐れ入りますがこちらをご覧になってください。
それではこの船の各部分、とくに改造されたところを重点的にわたしの写真でご紹介します。
船首のアップ。新造当時は海面から垂直に真っ直ぐ切り立った船首でした。1948年に貨客船に改装された時に今の斜めにカーブした形に変わっています。錨より船首よりに半分ぐらい寄ったところから鉄板の貼り付けが鋲(びょう=リベット)打ちから普通の溶接に変わっているのですぐに分かります(写真では良く分からないかな?)ブルワークと呼ばれる船首上部の波よけ板(ロープの出口から上)もあとからのものです。
船名のアップ。船体にちいさな丸いブツブツが規則正しく並んで見えるのが鋲打ちのあとです。これはトパーズや氷川丸にも見られる古い船の特徴のひとつです。(古い船好きにはこれがたまらん!)
MEDINAやROMA、FRANCA Cといった昔の船名を消した跡を必死で探したのですが見つかりませんでした。飛鳥なんかはっきりとCRYSTAL HARMONYの文字跡が見えるのにたいしたもんだぜい。
船首デッキ。いろいろな装置は貨客船ローマのときからのものでしょうか?右に見えるマストはドゥロスになってからのもののようです。
残念ながらタイタニックごっこは出来ません。
ブリッジ(操舵室)のアップ。ローマになった時にこの位置に移設されましたが当時は木造だったようです。もちろん現在はかたちはそのままで鉄板になっています。
それにしても窓が小さいこと!
ボートの覆いを外してチェックしていました。ボート自体は木製を期待したのですがどうもFRPっぽい比較的新しいものでした。チェ!
ただしスイング式の懸架装置が時代を感じさせてくれます。
煙突のアップ。もちろん新造当時は細長い円筒形でした。そしてローマにまって太い円筒になり、コスタのフランカCになって現在の形になりました。側面全体に大きくコスタライン時代のCの文字の跡が見られるのですが、分かります?
球状のドームアンテナが現役船であることを象徴している気がします。その真下の二人のクルーのうちに右側がドゥロスのキャプテンです。かっこいいぞ!おい!
ボートデッキからエンジンルームを覗いたところ。黄色いプレートにFIATの文字が読み取れます。
どうもわたしにとってフィアットと言うとルパン3世のクルマ(フィアット500)を想像してしまうのでちょっと驚き。
ボートデッキ後部、コスタのクルーズ船時代にサンデッキ(リドデッキ)だったところが書店部分になっていました。ほとんど洋書ですが、楽しい本やドゥロスグッズが一杯。値段も日本よりだいぶ安い気がしました。
手前の平置き台あたりにコスタ時代にスイミングプールがあったのではないかと思われます。
氷川丸やタイタニックでおなじみ、昔の帆船時代の名残である尖った船尾。カウンタースターンと呼びます。
このあたりが外観では一番1914年の新造当時の面影を残しているところではないでしょうか?
もちろんその上の3層のデッキは後付けです。
対岸の入船みなとタワーから見たドゥロスの側面。船体中央から船首に向かって上のほうにそっくりかえっているのが判ると思います。シアーといってこれも古い船の特徴です。
最近の客船は船首から船尾までまっすぐな船がほとんどです。
というわけでこの船の歴史を知った上で各部分を仔細に観察するといろいろなことが分かります。そんな意味では古い船が大好きなわたしにとって実に楽しい船でした。
ただ、残念ながら時間的な関係で船内ツアーに参加できませんでした。ちょっと残念。ほかの皆さんのサイトやブログの記事で楽しませていただくことにします。
ドゥロス号を見学されたのですね。福岡では斜め前からのアングルでしか撮ることが出来ませんでしたが、色々な角度から船体を見ることが出来たようで何よりです。外観の変遷については良く知らなかったので参考になりました。
PUNIPさん、楽しい記事、ありがとうございます。ドゥロスの船尾の形がいいですね。 神戸のまつ
ナ〜ルホド!どこかで見た感じの、このシアーライン。どこか聞き覚えの有るこの名前。PUNIPさんの説明読んで納得(^^;この図書館船「ドーロス」、一度鹿児島に入港した事があります・・・間違いないと思うけど・・・たいへん印象的だったのでヨット関係の本を記念として買った記憶が、、
凄い観察力。「結婚とは愛する人の辞典を作ることよ」(byあるタレント)じゃないけど、大好きな船だからこそここまで観察できるのですね。
私はカウンタースターンを見て「スカンジナビア」を思い出しました。
すいません、教えてください。説明を拝読しつつ写真を見ていて思ったのですが、船体のリベット接合は、一部だけ溶接接合になったのでしょうか?。つまり、基本的に船体の大部分はリベット接合で作られていると思っていいのでしょうか???。
sunburnさん、この新潟ではいろいろな角度から見ることが出来ました。
じっくり見ているといろいろな発見がありました。古い船ならではですね。
まつさん、この船尾の形は今では帆船にしか見られなくなってしまいました。わたしも大好きなのですが、効率重視の現代の船ではもう造られないでしょうね。
じゃむオジさん、たしかに平成8年8月に鹿児島に来航していますので間違いないですね。海事関係の本もたくさんありました。写真を撮っていたらぜひ見せてください。
アントンさん、いろいろな部分の観察はとても面白かったです。以前トパーズの船内見学をしたときも、あれこれ探し回ってしまいました。
スカンジナビア・・・たしかに思い出しますねぇ・・・グスン
ONnojiさん、わたしも造船技術に関してはあまり詳しくないのですが、このころの船の船体は全て鋲接で造られていたはずです。
ですからリベットのポチポチが船体に見えない部分はすべて戦後に改装されて増設された時に出来たと思って間違いないと思います。
こんどトパーズが横浜に戻ってきた時に、長く四角い窓が並んでいるプロムナードデッキの一番船首よりの部分の船体をよく見てください。
ほかの船体がリベットでボツボツしているのにそこだけツルツルしています。
明らかに後年に増設されたあとです。
歴史を感じさせてくれる船ですね♪クルーもなかなか素敵です♪♪
キキさん、クルーの皆さんはみんなてきぱきと仕事をしていました。ボランティアなのが信じられません。みんなこの古い船を心底愛しているのでしょうね。
(DOULOS)右横写真は船型がよく判ります。これからは、見られなくなるスタイルでしょうか。
カウンタースターンのフインテ−ルは、氷川丸、ステラポラリス、カッテイサーク、日本丸、海王丸 などの夫々の個性が時代と共に楽しめます。
書店部分は結構広いんですね。思い出してみると氷川丸より古いんですよね。錨鎖の穴が楕円形でまた面白いです。
風格を感じさせる船型。。。どうしても船のイメージはこうなります。
改修の連続で現役を続けている様子も良くわかります。
リベットの三島型船型が懐かしい。。。
たかまるさん、こういう船型はもう新造船では見られないかもしれませんね。でも回顧ブームで復活するかな?個人的にはスカンジナビアの複製客船を造って瀬戸内海クルーズに就航させて欲しいです。
つうせいさん、たしかに書店部分は思っていたよりも広かったです。このほかにも前部甲板にも本の100円均一コーナーがありました。
その他にもいろいろ面白い部分がありました。
地図屋さん、古いですけど、手入れはかなり行き届いているように感じました。本当に風格を感じさせますね。
ブリッジの木板フロアは本当に貴重なもので、マグネットコンパスと共に、建造当時のものですね。引退後は保存船になるでしょう。
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