先日、ピースボートチャーターの客船「モナ・リザ」を東京、横浜と2日連続で見に行ったとき、何人かのかつてのピースボート乗船経験者(みなさん、とってもいい方たちばかりでした)とお会いすることが出来ました。
色々なお話を伺う中で昔のピースボートの客船の話になり、まぁ出るわ出るわ、懐かしい客船の数々!
ピースボートは今年でもう26年にもなるのですからその長い歴史には色々な客船がある訳でして・・・
興味を持って帰ってからピースボートのホームページで調べたところ、今回の「モナ・リザ」も含めてその数なんと20隻!
中には「カレリア」と「オリビア」のように同じ船でありながら名前が変わっていたり、「ルーシ」と「ミハエル・ショーロホフ」のように見かけは全く同じでも実は別の船だったり・・・
「え〜!!!!」っと驚くようなエピソード(もちろんピースボートチャーター中のエピソードではありません)や経歴を持つ船があったり・・・
それはまるで世界の客船博物館・・・
今回から飛び飛びで4回に分けて、そんな平和を願う日本人を乗せて世界の海を航海したピースボートの船たちを簡単なイラストを交えて紹介したいと思います。
チャーターの古い順に並んでいます。
↑「にっぽん丸」(二代目) 商船三井客船 9745トン 1962年建造
移民船「あるぜんちな丸」を改造した初代「にっぽん丸」のあとを継いだ元ブラジル客船「ロサ・デ・フォンセカ」。日本に来た当時は2年ほどパナマ客船「セブンシーズ」として運航されていました。
小さいながらも均整の取れた美しいデザインを持つわたし好みの船でした。
現在の「にっぽん丸」就航ののち、インドネシアに売られ、1998年にインドで寂しく解体されています。
ピースボートとしては記念すべき第一回航海で1983年9月に153名という今では考えられないぐらい少ない数の乗客で横浜から13日間の小笠原〜硫黄島〜グアム〜サイパンのクルーズを行い、翌年の第2回も使用しています。
↑「コーラル・プリンセス」 英国チャイナ・ナビゲーション 9765トン 1962年建造
やはりブラジル客船を購入して極東水域に投入した船で1990年までの永きに渡って日本人に親しまれ、その顧客は完成したばかりの「飛鳥」を擁する郵船クルーズに引き継がれました。現在の「飛鳥」のルーツはこの船にあるわけですね。
その後、マレーシアに売られ「コーラ・プリンセス」「ミレニアム・クイーン」という船名を経て、2001年に解体。
ピースボートは1985年から1992年までの4回、主として東南アジアクルーズ(最後の一回は「コーラ・プリンセス」)に使用しています。
↑「さんふらわあ7」 関西汽船 7511トン 1973年建造
同社の沖縄航路の貨客船「若潮丸」を1978年に大改造した同社初のクルーズ客船であり、おそらく史上最小の「さんふらわあ」でもあります。
1992年にギリシャのエピロティキ・ラインに売却、エーゲ海のショートクルーズに使われ、いくつかの船名と船会社を経て、現在でも同じギリシャのサントリーニ島で「ゴールデン・プリンス」として活躍中・・・な、はずです・・・たぶん(うゎ!いいかげん!)
ピースボートは1987年から89年まで3回チャーターしました。
ちなみにこの頃のピースボートは東南アジアや極東の国々を回るだけの短いクルーズがメインでした。
↑「アントニーナ・ネジダノヴァ」 ソ連極東船舶公社 4254トン 1978年建造
日本〜ナホトカ航路でよく見かけた「バイカル」クラスの後継たるソ連の小型客船群の一隻で、姉妹船に「オリガ・サドフスカヤ」などたくさんあります。
ロシアになってからは主に日本海と大陸を往復する定期客船として就航していましたが、2004年秋、富山港内で台風23号(この台風では同じ日にすぐ近くの富山港外で帆船「海王丸」も遭難しています)のため岸壁に繋留されたまま横転沈没。引き揚げられたものの結局解体されました。詳しくはこちらの記事でどうぞ。
ピースボートでは1988年にソ連極東地域を巡るクルーズに、そして1991年、北方4島クルーズに使用しています。
↑「オーシャン・パール」 オーシャン・クルーズ・ライン 12456トン 1967年建造
もとフィンランドのカーフェリーを1977年にクルーズ客船に改造したもので一時期、日本中心のクルーズに使用されていました。
お世辞にもスタイルのいい船とは言えませんが、意外に内装は豪華だったそうです。
めまぐるしく船会社を渡り歩き、船名を替えたものの、現在は「ゴールデン・プリンセス」(中国名「金公主」)という名前で香港のワンナイトカジノクルーズ船として落ち着いています。こちらのY!ブログ仲間、船おじさんの記事で現在の詳しい様子をご覧ください。
ピースボートでは1989年、東南アジアを巡るクルーズで一度だけチャーターしています。
↑「オセアノス」 ギリシャ、エピロティキ・ライン 14000トン 1957年建造
もとフランスの貨客船「ジャン・ラボルド」を改造して1976から就航させた地中海クルーズ用の客船。
ギリシャのエピロティキ・ライン(現在は存在しません)は「さんふらわあ7」の売却先でもあり、のちにチャーターする「アワニ・ドリーム」も元はこの会社の船。さらにまだ皆さんの記憶に新しい「ザ・トパーズ」もかつては数年間この会社に所属して「オリンピック」と名乗っていたことがあります。
いろんなかたちでピースボートと縁の深い会社だったんですね〜
1991年、南アフリカ沖合いで沈没。この時の沈没の様子はよくTVで「衝撃映像スペシャル」みたいな番組で繰り返し放映されていますのでご覧になった方も多いかと思います。
ピースボートが記念すべき初めての地球一周である第10回クルーズでチャーターしたたった半年後の出来事でした。
ちなみにこの最初の地球一周クルーズは今のように横浜発着ではなく、ギリシャのピレウスを基点にしたもので、日本では被爆地である広島と長崎に寄港しました。こちらのY!ブログ仲間skyblueさんの記事でそのときの様子がご覧いただけます。
<続く>・・・・・・・・はず
おはようございます ご無沙汰してすいませんです^_^;
さんふらわあが ピースボートに使われて外洋にでてたのですね? これまたびっくり(^_^;)
そしてにっぽん丸は歴史があるのですね(^^ゞ初めて知りました
いつも博物館館長のように 詳しい解説ありがとうございます(^^ゞ
ピースボートの歴史は長いんですね。知らなかったことがいっぱいです。
続きも楽しみです。
お久しぶりです。
Dawn Treader ちょっさぁです。
ピースボート・・・実は私の妻がまだ若かりしころにどれかの船で「地球一周航海」に出かけたことがあるそうです。
詳しく話を聞いたことがないのですが、どの船かを聞き、ぜひ PUNIP さんのイラストを見せてあげたいと思います。
<続き>を楽しみにしていますね。
すばらしい企画 ありがとうございます。
このころまではぼくもリアルではないですが、エピロテキなくして、地球一周はなかったでしょうね。
ピースボートもまだまだ若造の集まりでしたから、そんなお金もない組織に 3ヶ月も船を貸すクルーズ会社はないです。
そこへあえて、直談判に20代の若者がエピロテキ本社へ乗り込み社長に直談判。でなんとか借りれたと、元スタッフに聞いたことあります。
第2回目を楽しみしています。
yuさん、この「さんふらわあ7」は定期フェリーがほとんどの「さんふらわあ」シリーズのなかで唯一のクルーズ専用船で異色の存在でした。
日本近海の外国(中国とかフィリピンとか、韓国とか・・・)ならば行くことが出来たようです。
このピースボートでも東南アジアクルーズと中国クルーズを実施しています。
やすこさん、実にさまざまな船を使用しているようで、調べていてとっても面白かったです。
これからをお楽しみに
ちょっさあ、お久しぶりです。
奥様がピースボートに乗船しているんですか?
どの船だったのかとっても興味がありますね。判ったらぜひ教えてください。楽しみです。
せんださん、エピロティキのチャーターにはそんなエピソードがあったんですか!すごい!当時(いまでも)エピロティキなんて会社は知名度は全くなかったはず。
また会社側もピースボートなんて聞いたこともなかったはず。
よくぞ借りられたものだと感心してしまいます。
今後もまだまだ続きますので色々なピースボートチャーター船の解説をよろしくお願いします。
すごい調査力ですね。興味深く読ませていただきました。まるで、探偵が謎解きするような、考古学者が地中から遺跡を発掘するみたいな、大変だけど、楽しんで書かれていることが伝わってきます。
妻に確認したところ、ロイヤルクルーズラインのゴールデンオデッセイ(ギリシャ船籍)だったそうです。
そのときのメンバーとは、今でも付き合いが続いているみたいですよ。
ちなみに・・・妻は、私がまだ「海星」のクルーをしていたときに、「海星」に乗船してきた訓練生でした。
まりんるーじゅさん、おっしゃるとおり調べるのは大変ですが楽しい作業です。
古い船は色々な歴史がそれぞれにあってとっても面白いです。
本当は一隻一隻もっと深く掘り下げたいのですが、色々制約があってこのくらいでご勘弁ください。
ちょっさあ、奥様が乗ったのは「ゴールデンオデッセイ」でしたか!
ピースボートでのチャーターはたった一回きりのなんとも貴重な珍しい船です。
明日あたりに記事をアップしますのでその中に載っています。
お楽しみに!
そうですか♪
昔はよく船の話をかみさんともしたんですけど、最近の話題は子供の話ばかりになっています。
Dawn Treader が横須賀に戻って帰宅したら、妻と久々に船の話をしてみたいと思います。
ちょっさぁ、家事と育児に追われる生活をしていると船とは縁遠くなってしまうのでしょうね・・・
今度、ご家族3人でゆっくり船旅でもしてみてはいかがですか?
たまには船に乗せてもらう立場というのもいいものなのでは・・・
PUNIPさん、こんにちは!
にっぽん丸/旧セブンシーズ号のイラスト、大変になつかしく
拝見致しました。
船おじさんも、古い写真を探してみます。
まず、煙突の写真、見つけましたのでトラックバックさせて
頂きました。
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