私が船旅に目覚めたきっかけ
私が船旅に目覚めたのはQE2が1975年3月に初めて日本に来港し、『黒船来港』と話題になった頃でした。
QE2が初来日の停泊中4日間に横浜の山下公園や大桟橋に55万人の見物人が訪れました。QE2を目の前で見た時にはその大きさに圧倒され、いつかこんな立派な船に乗ってみたいと思いました。当時の私にとっては外国客船というのは乗るのではなく眺めるのが精一杯でまさに高嶺の花でした。
社会人になってからは長期休暇を取るのは至難の業で、専ら土日を利用してフェリーで船旅を楽しんだものです。関西に住んでいたので神戸や大阪から四国や九州にフェリーで出掛け、「フェリー乗り比べ」というキャッチフレーズで色々なフェリーに乗船して、その違いを話し合い情報交換したものです。フェリー船上で知り合った船旅愛好家との情報交換が最も新鮮で確かな情報でした。
その頃から同好の士として知り合った船友とは今でも交流が続いています。こういう交友ができるのは飛行機や新幹線の旅では決して叶わない船旅ならではだと思います。
クルーズ愛好家のための「ふぁんねる」発刊のきっかけ
そういった状況下で船旅を愛好する東海地区出身の仲間5人で「船旅で楽しかったことを自分だけにしまい込んでおかず、仲間に教えてあげたい」と思い、『ふぁんねる』という同人誌を1977年から1992年にかけて不定期で6刊発行しました。
当時のメンバーは20代の独身で働いて稼いだお金は自由に使えました。スポンサー企業がある筈もなく出版費用も郵送代も仲間でお金を出し合い発行し配布しました。当時はワープロもない時代なので手書きです。原稿用紙に書き綴ったものを印刷会社に持込み編集してもらうという文集のようなものでした。
1970年代から1980年代に乗船し経験した所感、雑感や船旅の醍醐味などを発信し、船旅愛好家の中では結構評判になりました。スポンサー企業に胡麻をする必要もないので、とにかく船旅の楽しさを伝えようと気兼ねなく自由奔放に書きました。特に文才がある訳ではないので名文ではありませんが、メンバーの一人が描く船のイラストが素晴らしかったので中の文章も読んでもらえました。
1980年前後は客船に乗ろうとしたら直接船会社にノコノコ出掛けて行って交渉した時代で、旅行代理店はまだ船旅を取扱っていない時代でした。そんな時代に『ふぁんねる』は誕生しました。
1989年から時代は大きく変わりました。1989年は昭和64年から平成元年に変わり「船旅元年」とも言われています。
先ず「おせあにっくぐれいす」誕生、数日を経ずして「ふじ丸」(1989年4月)、「クリスタルハーモニー(のちに飛鳥Ⅱ)」(1990年6月)、「おりえんとびいなす」(1990年7月)、「3代目にっぽん丸」(1990年9月)、「飛鳥」(1991年12月)と続々と日本でも新造客船が登場しました。
この頃からクルーズに関する綺麗な装丁の雑誌が発行されるようになり、『ふぁんねる』は役目を終わり、パソコンが個人に普及しインターネット社会に突入していきました。
私達ふぁんねる仲間は結婚し、ジャパニーズビジネスマンとして多忙な時期となり、暫く船旅とは遠ざかっていましたが、『ふぁんねる』を懐かしむ声が聞こえてきました。
そんな中で船旅愛好家のふなむしさんが自身のホームページ『ふなむしのページ』で名古屋船旅情報の一環として『ふぁんねる』を閲覧できるようにしてくれました。
寄稿してから40年位経過しましたが、不思議と乗船記の内容は陳腐化しておらず、クルーズの真髄は普遍的であると感じています。
以下より閲覧できますので、ご覧ください。
<ふぁんねる WEB版> http://www.geocities.jp/funamushi21/funnel/funnel.html
<クイーンエリザベス2・シップデータ> 総トン数67,140トン、全長294m、全幅32m、旅客定員1,770名、乗組員数1,000名、就航1969年5月
<シンフォニーオブザシーズ・シップデータ(現在の世界最大の客船)> 総トン数228,081トン、全長362m、全幅65m、旅客定員5,494名、乗組員数2,175名、就航2018年3月
この半世紀の間に世界最大の客船の大きさは一気に巨大となり隔世の感があります。
『ふぁんねる』の表紙イラスト
第1刊
**ロイヤルバイキングスカイ(ROYAL VIKING SKY) **
ノルウェー船籍
建造1973年、総トン数21,891トン、全長205m、全幅25m、旅客定員758名。
1982年に船体延長工事を施され、総トン数が28,221に増加。僚船ロイヤルバイキングスター、ロイヤルバイキングシーと共に活躍した。
第2刊
アキレラウロ(ACHILLE LAURO)
ギリシャ船籍
建造1947年、総トン数21,110トン、全長192m、全幅25m、旅客定員900名。
1978年2月には世界一周の途上初来日。1985年にシージャック事件に遭う。その後、1994年には火災に遭い沈没。
第3刊
ノルウェー(NORWAY)
ノルウェー船籍
建造1961年、総トン数70,202トン、全長315m、全幅34m、旅客定員2,560名。
1961年にフレンチラインの大西洋横断客船フランス(FRANCE)として就航。
1979年と1990年に現代的クルーズ客船への改装工事がなされ、総トン数76,049トンとなり、当時世界最大のソブリンオブザシーズを抜いて世界最大の客船に返り咲いた。
第4刊
ラファエロ(RAFFALLO)
イタリア船籍
建造1963年、総トン数45,933トン、全長276m、全幅30m、旅客定員1,775名。
かつてはジェノバ~ニューヨーク間のオーシャンライナーとして姉妹船ミケランジェロ(MICHELANGELO)と共に活躍したが1983年沈没。
第5刊
新さくら丸(SHIN SAKURA MARU)
日本船籍
建造1972年、総トン数21,600トン、全長176m、全幅25m、旅客定員552名。
巡航見本市船として建造され世界中を巡り活躍したが、1981年にクルーズ客船として改造され、ふじ丸が就航するまでは日本客船隊のフラッグシップ的存在で活躍した。
第6刊
飛鳥(ASUKA)
日本船籍
建造1991年、総トン数28,856トン、全長192m、全幅25m、旅客定員604名。
1991年に就航してから2006年3月に飛鳥Ⅱが就航するまでは日本船籍史上最大の客船。
飛鳥Ⅱ就航に伴い、ドイツのフェニックス・ライゼンに売却されアマデア(AMADEA)と改名。
世界一周クルーズ中の飛鳥Ⅱが本年4月15日にアラビア海のアデン湾を海上自衛隊に護衛されながら航行中、日本に寄港した後のアマデアと1日に2度も再会したらしい。
コメントを投稿する
コメントを書く