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初代・飛鳥の1991年クリスマス・デビュー・クルーズの思い出

名古屋港に初入港した時の飛鳥
Photo: 名古屋港に初入港した時の飛鳥

 飛鳥Ⅱが2025年に最後の世界一周クルーズ、飛鳥Ⅲが2025年夏に就航を予定しており、日本のクルーズ船は新しい時代を迎えるが、初代の飛鳥が1991年に日本最大の客船として就航した時に一人の熱烈な船旅愛好家(故 久米生光さん)により、完成したばかりの飛鳥を全船チャーターし、クリスマス直前に名古屋~神戸~名古屋・2泊3日の夢のようなクルーズが実現された話を知っている人は少ないのでご紹介したい。

1989年(平成元年)にふじ丸が就航した年はクルーズ元年と言われ、1990年に3代目にっぽん丸、1991年に初代の飛鳥が就航した。 このクルーズ黎明期に久米さんは名古屋地区の若手ビジネスマンの自主勉強会サークルを中心として『飛鳥を育む会』を結成し、出来立ての飛鳥をチャーターして名古屋発着の2泊3日クルーズする事を企画。船会社の日本郵船などに情熱を注いでプロポーズし続けて説得し、飛鳥にとって初めて乗船客を迎えるクルーズが実現した。 1隻まるごとチャーターするには莫大な費用がかかるに違いないが、市民団体だけで乗客550人以上を口コミ中心に集客した。クルーズ料金は実費を乗客が負担する「割り勘」形式で、船室の等級により大人一人6万円から40万円。乗客は東海地方を中心に関東、関西など全国から集まり、職業、年齢はさまざまで初めて船旅を経験する人が殆どだった。      (’91クリスマスデビュー・クルーズの記念誌表紙)

船上の催しも『飛鳥を育む会』で企画し、ショーの出演者としてクラシック、ポップス、ジャズ、邦楽、落語など、さまざまな分野の名古屋地区のアーチスト約30人を招き、トークショーの出演者として作曲家の池辺晋一郎さん、客船ファンの作家・阿川弘之さん、平岩弓枝さんや落語家の桂 ざこばさんなど錚々たるメンバーが乗船され、華やかな雰囲気となった。      (飛鳥に思いを寄せた 出演者のサイン入り色紙)

名古屋には「船旅さん こんにちは」で有名だった小島公平さんや同人誌『ふぁんねる』グループ、「名古屋港友の会」、「航海クラブ東海支部」など歴史的に熱烈な船旅愛好家を育む土壌が後押ししたと思われる。

コロナ禍で約3年間国際クルーズ船は運航を休止していたが、2023年3月に国際クルーズが再開し、ドイツのクルーズ船アマデア(元 飛鳥)が国際クルーズ船のトップバッターとして日本に来港し、嬉しいニュースとなった。このあと日本には国際クルーズ船が続々と来訪し、活況を呈してきた。

ドイツのクルーズ船アマデア(初代の飛鳥)、飛鳥Ⅱ、飛鳥Ⅲの3姉妹の船が世界の海のどこかでランデブーしないかと今から期待している。       (2023年3月に名古屋港に来港したアマデア)

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