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コロナ後の旅のカタチ

シリーズ  All About Cruises

3年ぶりの地中海クルーズ

2019年夏にフランス船ポナンにてマルタ島バレッタで乗船し、終着港イスタンブールまでギリシャの島々を巡り、その翌年はシーボーンでローマからバルセロナまでのリビエラを巡る旅を予約していたのだが年の末より、コロナということばを頻繁に耳にするようになり、年が明けてあっという間に世界中が大変なことになってしまった。

逼迫する医療と社会と根絶された町、マスクと消毒液を手に入れるのに血眼になり、横浜港で隔離されてしまったクルーズ船でのクラスターが、朝のワイドショーで人々の注目を集めることとなり、試練の月日が流れていった。

結局、2020年は運航キャンセルとなり仕切り直しとなった。そこで2021年は気分も新たにと、リッツカールトンがクルーズ船に参入という情報をキャッチし早速予約を入れていたのだが、これまたコロナ事態は芳しくなく船の完成が見送られ2022年を迎えた。ようやく海外に行ける状況が整ったところに、予約を入れた6月に完成の見込みが立たなかったため、同じ時期にギリシャの島々を巡るシーボーンへの予約に切り替えた。コロナだけでなく、ウクライナと連鎖的に様々な事情に世界は翻弄されている。

さてさて、いざ渡航となると巡る先の入国要件やら、帰国時の要件やらが日を追って変わってくる。旅行社や航空会社を含めた旅行のプロですら実際に経験したことのない大使館から通達される文書のみが頼りの中で、事情は完璧につかみ切れない。政府・大使館の情報は一方的で細かな質問は一切受け付けない。出された文書のみで解釈して柔軟に対応しなければならない。コロナを契機にDX化が一気に進み、世代を問わず、オンラインで何もかも済ませられるという便利さと引き換えに自己責任を問われる旅の時代の到来だ。

渡航する時分にはヨーロッパ入国に事前PCR要件が消え、乗船前の陰性証明はポートでシーボーンが無料で行ってくれた。PCR関係は日本に帰国する72時間前の検査と日本国の要請に沿う証明書とアプリの質問状をクリアすればよくなった。

フライトスケジュールがころころ変わるため、こちらの対処と付随してホテル予約の変更などクルーズまでの道のりは超えるべきことが多く、比重がそちらにいってしまったためか、今回は旅支度が散漫となって色々なものを家に忘れて離陸と相成った。

ただでさえ、3年も旅支度などしていなかったため、何かストンと抜け落ちているものが多々あり、自身に呆れるものの、パスポートとお金さえあれば何とかなるもので、ともあれ無事に2週間の旅を終えられたのは幸運としか言いようがない。

コロナが落ち着いたところで、世界を取り巻く状況の変化はさらに激しくなるであろう。変化に柔軟になれる身体能力を鍛え続けることが生きるために不可欠な要件となった。日本のこれからの教育に必要なのは、与えられた課題に用意された返答ができ良い点数を取ることではなく、予期せぬ課題に対応するためのオプションをいくつ考え出すことができ、実践できるようなサバイバル能力なのだと、今回の旅で痛感した。

夕を思い旦を思うべし

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