クルーズのサイズ感
以前、ポナンで知り合ったオージーに次はシーボーンを予約していると語ると、『もう、その味を知ったら他の船には戻れなくなる』と言われた。
確かにシーボーンは大型船と比べたらコンパクト(40,000トン、300室)で、レストランの数も多く寿司バーまであり、カジノ、劇場とすべてが揃っている。食事のグレードは非常に高く、どのレストランで食べてもおいしいし、フリーのアルコールも満足のいくレベルのものが提供される。ベジタリアン対応も非常にバラエティーに富んでおり、多様性への取組は抜群である。
予約が必要なThomas Kellerに至っては、こんなに美味しいステーキをこれまでたべたことがあるであろうか、と感激した。焼き方といい、肉質といい、噂には聞いていたが予約が不要であれば毎日行ったかもしれない。 またThomas Kellerが監修するテラスでのBBQも格別であった。
とにかく、食に関してはグローバルな味を飽きることなく楽しめ、しかもレベルは最高峰かつ演出も優れているのだから言うことはない。テラスでのランチ/ディナーは毎日テーマがあり、メキシカン、イタリアン、チャイニーズ、地中海とどこで食べるかを悩んでしまうほどだ。
バーも沢山あり、それぞれが場の雰囲気を大切にした素晴らしい空間である。
大満足ながら、人間とはかくも好みは万別であるのが常である。要は船のサイズが私たちには大きいのである。前回ポナンで一緒になった同年代のベルギー人も同じことを言っていたた。初めてポナンの船(10,000トン、100室)のサイズ感が気に入ったという。また、シーボーンはやや年齢層が高いというのも、彼らと同様に感じた。50代後半である私たちからしても、圧倒的に年齢が高いのだ。私は乗船したことがないのだが、多分日本の飛鳥と同じような客層なのではないかと思う。
またアメリカ船ということでアメリカ人が大半であり英語ONLYの世界であるのがシーボーンならば、フランス語と英語を公用語とし、言語が異なる人がそれぞれ共通のコミュケーション方法を探りながら楽しむ雰囲気のあるポナンとではカルチャーが異なる。どちらが良いとか悪いとかではない。すべては好みの問題だと思う。
同じポナンであってもシーボーンの半分以下の大きさの船と帆船では全くカラーが異なる。帆船ヨットは私たちが乗船した当時は30部屋であり、食事は必ず相席となる。これを苦痛とするか、いろいろな人と交われて楽しめるか個人差がある。そのポナン帆船も改装後はさらに部屋数を抑えわずか16部屋という新しいものがお目見えする。
ある程度大きい船は寄港地で錨を下すとテンダーボートでの移動に時間がかかるため、寄港地で埠頭につけられる港の方が都合がよく、それが可能な大き目な港がある場所に多く立ち寄る。一方、帆船ヨットは、気軽に錨を下してもコンパクトにゾディアックで上陸できるため、静かな、そして船でなくては行けない島に行けるのが魅力である。
それぞれの船が持つ強みを吟味して、旅を選択していくのが満足の秘訣であり、これには実体験がものを言う。マイアミから来たリピーターのアーティストはいくつかの船を体験し、初めてシーボーンに乗った時、ようやく自分の居場所を見つけたと語っていた。自分の居場所を見つけるのにはまだまだ時間がかかる。
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