夏のボニファシオはセレブのヨットで溢れる要塞の町。シーズンにはコルシカ島きっての賑わいを見せる。
ポート沿いのきらびやかなレストランには「和」を取り入れた店もあり、昼間からシャンパン片手に気だるい男女が華やいでいる。旧市街にもこじゃれた店がつらなり、個性的なファッショングッズも揃う。
一方、要塞は風も強く急な斜面が多く足を震わせながらのスリリングな観光を楽しめる。一般に海外の観光地は日本とは違い、自己責任のもとに訪れる観光地が多く手すりもなく足場が悪いところが多い。
香辛料、貿易、世界史の授業とマイブームであった塩野七生さんの著書が思い浮かぶ。地中海の覇権をめぐって殺伐とした争いが繰り広げられたのも今は昔。歴史を見直そうと、最後の寄港地イルルースの書店でコルシカの歴史を紐解く書籍を購入する。いまだに完読していない。元来、読書家ではないのだ。
最後の夜のアペリティフは、いつものワクワクする次の寄港地情報ではなく、下船の連絡事項で終わった。夢の時間がまた終ろうとしているのを左脳で感じるときだ。続くフェアウェルパーティーはそんな物寂しさを吹き飛ばす弾けた夜であった。キャプテンがクリコのコルクを勢いよくナイフで吹き飛ばし、乾杯の嵐があちこちで沸き起こる。夜通し踊りあかし別れの朝を迎えた。
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