世界遺産を巡る
今回の航路は名所がめじろ押しである。中でも中盤に訪れた、獅子像が印象深いデロス島は申し込んだ時よりメインイベントの地位にあり、実際、忽然と失われた繁栄の刻印を一つ一つをガイドが丁寧に解説してくれ、私の想像力は無限に広がった。
正直、あまり遺跡への思い入れが強くなく毎度各地で適当に巡ってきたが、すっかりこの都市遺跡の中にどっぷりとハマってしまった。ガイドの発することばに従い、滅びた文明の人々の生活が映像の如く鮮明に見える。貿易の中継地としての繁栄の証はその緻密な設計を可能にし、繁華街を歩けば物売りが往来し、人垣をやっとの思いで抜けたところに、劇場が姿を現す。ステージの中央に立ち客席に目をやれば、歓声が聞こえる。富裕層の住居の2階から赤子の鳴き声が聞こえ、人々が酒を酌み交わし賑やかな広場がみえる。
デロス島の北側にある獅子の回廊は、レプリカであるが、その雄姿が最後に見たものは略奪者なのだろうか??
この乾いた不毛の土地に生息する猫たちに誘われ、ガイドツアーの群れから離れていく。盛者必衰の理。消滅した文明は、無人の島であり続ける。
クルーズ船を利用しない場合は、ミコノス島からフェリーが出ている。島からの最終便に乗り遅れると、自由猫ちゅんと共に野宿という大変なことになるらしい。御用心。
コメントを投稿する
コメントを書く