RCI(ロイヤルカリビアン)が、アーカーフィンヤーズに対して新造船の発注
を行いました。その大きさは、
総トン数 220,000トン
船長 1,180フィート(360m)
船幅 154フィート(47m)
高さ 240フィート(65m)
乗客数 5,400人
という数字。
まもなく16万トンの「フリーダム・オブ・ザ・シーズ」が就航するのですが、
これを更に43%も拡大した船になるそうな....
RCIのニュースリリース
http://www.royalcaribbean.com/ourCompany/pressCenter/pressReleases/info.do;jsessionid=0000wqsWbsxRir_FjVmM5805qOC:10ktmer4a?prDate=02-06-2006&prCode=A
アーカーフィンヤーズのニュースリリース
http://www.akerfinnyards.com/press.cfm
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何故こんなにも巨大な船が必要なのか。
答えは、激烈な競争下にあるアメリカのクルーズ市場にあります。
お客を少しでも多く集めたい。それにはどうするか?
一番簡単なのはライバル社より料金を安くすることです。
では、料金を安くするにはどうするか?
運航コストを下げざるを得なくなるわけです。
船の運行コストっていうのは、燃料費やらポートチャージやらパイロットコスト
やら、クルーの人件費などなど...いろいろあるわけですが、船を巨大化させて
それに比例して増える運航コストって、実は乗客数の増加に併せて増やさざるを
得ないキャビンクルーの人件費くらいなんですよね。
その他のコストは、勿論、船が大きくなればそれなりに増えますが、比例しては
増えないんです。
例えば操船クルーを考えてみてください。大きかろうが小さかろうが、現在のハ
イテク(死語?...(^^;)を駆使した船ならば、たとえ船が1.5倍になった所で、操
船クルーが1.5倍必要になるわけではありません。燃料費も1.5倍になるわけでは
ないし、ポートチャージも段階料金はありますが大きさに比例している訳ではな
い。パイロットコストなんて、一隻ならあくまで一隻ですから。(って、勿論、
段階料金になっているところもありますが...)
客船のトン数って重さじゃなくて容積を表しているっていうのはご存知と思います
が、つまり極論すると20万トンの客船っていうのは、10万トンの客船の2隻分
の容積に等しいわけです。つまり、2倍の大きさの客船には2倍の乗客(つまり2隻
分)を乗せる事は可能なわけです。
同じ容積で考えるならば、上で述べたような理屈もあって、二隻で運航するより
一隻で運航した方が、コストは下がるっていう事がまずあるわけです。
それだけではなく、デッドスペース(乗客を収容できないスペースの容積)は、
一隻分で済むので、その分、乗客のスペースを増やすことが出来ます。
つまり、乗客一人当たりのコストで考えると、船の数を増やすよりも、一隻の大
きさを大きくする方がコストは下がってくるっていう算数があるわけですね。
2500人が乗れる船二隻と5000人が乗れる船が一隻。もしクルーズ料金が同じ設定
であれば、どちらも船社の売り上げは同一ですが、利益率が違うわけです。
まぁ、こんな理屈をこねて大きな船を作ったところで、お客が集まらなければ大
赤字になるわけですが、今のアメリカのクルーズ市場って、こんなキャパでも楽
々と一杯にしてしまう勢いがあるわけです。だから強気でいけるんですね。
大きいことそのものも、集客力に対しての魅力という側面があります。
だれでも"世界一"なんていう冠がついてれば、"乗ってみたい"って思う理屈です。
こんなサイズの船でも受け入れてしまう市場と運航エリアを持っているアメリカ
っていうのは、まさにクルーズ大国といっていいんでしょうね。
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