先日のRCIのジェネシスに関連して....
かの地ではそういう事情で客船の大型化が花盛りなワケですが、振り返って、
日本ではどうなのかを考えてみました。
まず地域的な事情から。
日本は世界でも稀有な明確な四季のある地域です。
これがクルーズビジネスにとっては良くも悪くも影響していると考えられます。
良い点としては、四方を海に囲まれていて、海側からアクセスできるポイント
が多数存在し、それぞれが四季に応じた表情を見せるため、季節が違えばまっ
たく異なる寄港地となる可能性を秘めていること。裏返すと、季節によって魅
力が異なるため、必ずしも年間を通じて一定の魅力が持続するわけではない場
所であるということです。定点クルーズの寄港地としてはこれは困る要素とし
て考えられます。また、天候が不順な時期というか、クルーズに適さない時季
が存在するという事でもあります。
つまり何を示しているかというと、年間を通じて同じ場所をクルーズ運航でき
る地域が無いということになります。
次に施設面。
大型船が寄港するには、寄港する港のハードウェアに対しての要求も高いもの
となります。岸壁は勿論、港内の水深などなど...
桟橋に着岸できなければ通船ということになりますが、船が大きくなれば、こ
の通船にしても多くのノウハウが必要になります。
現行の3万トンクラスでさえ、桟橋に着岸できないような寄港地が少なくない
日本という国の特殊性は無視できない要素です。
集客力。
実はこれが一番のネックなのかもしれません。
日本船籍にしないと国内クルーズができないっていうのも確かに高コストにして
いる原因ではあるでしょうけど、現実問題として、安くは無い日本船のクルーズ
料金が集客の障害になっている点に関しては間違いは無い部分であると私は思っ
ています。
今回、郵船クルーズがクリスタル・ハーモニーを持ってきたっていうのは、間近
に迫った"団塊の世代"の大量リタイアを当込んで、キャパを増やしたかったとい
うように考えるのが妥当で、大型船を持ってきてコスト低減をしようっていう発
想では無いことは明らかだと思います。折角1000人近いキャパがあるのに、定員
を720に抑えているのがそのことを端的に物語っています。
高いから乗らないのか、乗らないから高いのかっていう議論はここではしません
が、結局、利用側も船社側もお互いの思惑が噛みあっていない中で行われている
のが日本のクルーズ事情なんだろうと思っています。
社会の問題。
リタイアした世代はともかく、現役世代にとって、日本という社会は長期の休暇
が取りにくい構造になっているというのが最大の問題なのかもしれません。
これも集客力に大きな影を落としている一因です。
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まだまだいろいろと要因はあるんでしょうけど、結局大きな船を持ってきてみた
ところで、客が集まらなければ経営としては成り立たない訳です。そのあたりの
微妙な採算ラインが3万トン未満っていう現在の日本船の大きさであり、集客で
きる人数を考えて設定された料金なんだろうなと思っています。
企業サイドから見れば、大きな船を持ってきて、思い切った低コスト路線で集客
に挑むっていうのは戦略としてはアリだと思いますが、リスクを考えると二の足
を踏む挑戦っていうことなんでしょうね。スタークルーズの日本進出がこけてし
まったのは、この面においても大きな影響を及ぼしていると考えます。
飛鳥IIは確かに大きいですが、上に挙げたような理由で考えると、"挑戦"と呼べ
るほどの出来事ではないと言えると思います。ある意味、とても手堅い戦略でし
ょう。グループ内にクリスタル・クルーズがあって、手ごろなサイズの船を調達
しやすかったというのも見逃せないポイントです。だって考えてみてください。
飛鳥IIって、クリスタルっていうブランドと、大型化するっていう部分が強調
されてますが、船としては飛鳥より古い船なんですから。
カポタージュの問題はありますが、やはりこういった日本のクルーズ事情に風穴
をあけられるのは外国資本でしょうね。ただ、外国資本にとっては、アジアにお
けるビジネスっていうといまでは中国がメインでしょうから、日本からみるとお
もしろくない動きになってしまう可能性は高そうです。沖縄、長崎、瀬戸内の各
地など、日本の西側はまだいいでしょうけど、東は絶望的です。
とりあえずは長期的に飛鳥IIが成功するようなことになれば、MOPASもSHKも座視
しているわけにはいかなくなるでしょう。すでに低価格攻勢は始まっているよう
ですが、私に言わせれば、それが出来るなら何で今までしなかったの?っていえる
レベルでしかありません。他社に大型船の投入を決断させるほどの成功になるかど
うか。まして他社にとっては郵船クルーズにおけるクリスタルのような存在は無い
訳で。郵船クルーズよりもより高いハードルを越えなければ、大型船の投入はあり
えないのです。
日本船大型化の鍵は飛鳥IIの"大成功"にかかっているというのが現在の状況でしょうね。
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ナベックさん、コメントありがとうございます。そんなに凄かったですか?
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