横浜港はその位置的な状況から、客船撮影に際していくつかのポイント
があります。そのあたりをちょっと書いてみます。
まず方位的な観点から見てみると、客船が接岸する大桟橋というのは、
実は方位的には南西から北東の方向に位置しています。
つまり、大桟橋に立っていると仮定すると、陸側は南西、海側は北東
にあたるということです。
次にベイブリッジですが、これは大桟橋と平行しています。
つまりは、南西から北東方向ということになります。
では客船が入港してくる航路はどうかというと、これはベイブリッジと
直交しているわけですから、入港を仮定すると、南東から北西方向とい
う事になります。
まずは、この位置関係を頭に入れて置いてください。
では、船の入港をシミュレーションしてみましょう。
入港時刻が朝方(AM9:00くらい)、見ている場所は大桟橋の先端と仮定
してみると、まず船はベイブリッジの奥のほうに姿を現します。大桟橋
からの方向は、実はこの時点で真東になってしまいます。朝の太陽は低
いですから、このとき、大桟橋から見える船の側面にはほとんど太陽の
光はあたりません。日本という場所的な関係から、真東といっても完全
な逆光というわけではありませんが、逆光と呼んで差し支えない光線状
態です。さらに海上の場合は気温の問題も無視できません。冬であれば
気温が低い分、水蒸気によるモヤモヤはまだ少ないのが救いではありま
すが、夏ともなるとモヤモヤで写真を撮れるような状態ではありません。
距離的には、ベイブリッジの向こう側に見えた時点で、大桟橋からだと
35mm換算で500mm程度のレンズでほぼ船体全体が写るような感じです。
この状態の写真を撮るのであれば、気温と、逆光であることを頭に入れ
て撮影してください。ちょっとだけ風があるとよりクリアな空気になり
ます。(強すぎると逆に埃が舞ってしまいます)船体をシルエットとす
るならそのまま撮ってもOKですが、船体のディテールを写したいのであ
れば、プラス補正が必要になります。
この状態はベイブリッジを船が通過するまで続きます。
船がベイブリッジを通過して、船のバックに鶴見ツバサ橋が見えてくる
ような位置まで来ると、徐々に船体の側面に光が周り始めます。
このあたりで300mmくらいのレンズの距離感です。
入港の時はタグボートを引き連れていますから、これを入れた状態で絵
を作るか、外した状態で構図するかの選択を迫られます。気温が低く、
バックがクリアな状態だと、ツバサ橋も綺麗に写ります。
露出補正はほぼ必要ありません。船体の色に併せて調整してください。
もし晴天であれば、このあたりからPLフィルターの使用をお勧めします。
海面の反射や、客船の窓の反射などをPL効果で確認しながら撮影してく
ださい。青空で、白い雲があったりしたら最高ですね。少し短めのレン
ズで空やベイブリッジを入れた構図もアリだと思います。
もう少し接近してくると、船は方向転換を始めます。
大桟橋から見ていると、ちょうど大黒大橋にかかるあたり。
この方向転換中が入港時における光線的には順光になる唯一の瞬間です。
レンズ的には100mmから200mmのレンジ。
ここから、大桟橋の山下側への接岸なのか、赤レンガ側への接岸なのか
で光線状態は大きく異なります。
山下側への接岸の場合、船の側面にはまた光があたらなくなります。
赤レンガ側への接岸の場合は、接岸の間中、光線は順光のままです。
ただし、船尾から接岸するような場合、正面からの写真が撮れるのはこ
の方向転換中に限ります。
さて接岸後、停泊中の写真を撮る場合はというと、基本はやはりこの太
陽の位置になります。もし山下側に接岸しているのであれば、午前中は
山下公園側から撮ると船は順光になります。大桟橋から船を見ると、午
前中は完全に逆光状態。午後2時過ぎくらいになると順光になります。
赤レンガ側に停泊している場合にはまったく逆で、午後2時以後、赤レ
ンガ側からが順光になります。大桟橋から船の部分を撮影するのであれ
ば午前中がお奨めです。
以上、今回は大桟橋から見た場合の朝の入港の様子でした。
その他の場合はまた別記事で書きたいと思います。
また、大桟橋以外の場所からの見物・撮影については、kuri_pinさんの
ブログに丁寧に解説されていますので、是非、そちらもご覧ください。
横浜港の撮影スポット探索(1)−「大黒海づり公園」
横浜港の撮影スポット探索(2)−「ふれーゆ」
横浜港の撮影スポット探索(3)−「横浜港シンボルタワー」
横浜港の撮影スポット探索(3)−「横浜港シンボルタワー」(続き)
「フォトアルバム」横浜港への客船入出港撮影スポット
横浜に出向くときには撮影ポイント参考にさせていただきます。デジカメなら場所によっては、10倍ズームも必要なんですね。
そうですね。あればいろいろと撮影パターンのバリエーションが増えるのは間違いないです。横浜港も東京港も撮影は難しいです。ま、撮影するために造られているわけでは勿論ないわけで。客船にとって利用しやすい港として施設の方向などは充分に吟味されて造られているのでしょう。
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