MSCエウリビア船体デザインが決まる、日本からも受賞者選出
昨年12月、全世界向けにMSCクルーズ最新客船、MSCエウリビアの船体デザインコンテストが開催。このたび受賞者が決定しました。ファイナリストが日本からも選出されたとのことで注目です!最新ニュースをお届け。
1. 最新MSCエウリビアの船体デザインが決定!
MSCクルーズの最新客船MSCエウリビア(MSC Euribia)の船体デザインが決定したという知らせが届きました!
実は、MSCエウリビアの船体デザインは、全世界向けに実施された「船体デザインコンテスト」で決定したのです。これはMSCクルーズとしては初めての試みです。
客船デザインはどんなものが選ばれたのか?どのような国から作品が集まったのか?などなど、詳しくお伝えしていきます!
1-1. コンテストはMSCクルーズ初の試み
来年デビューを控え、現在建造中の最新客船であるMSCエウリビア(MSC Euribia)の船体デザインを決めるコンテストが世界に向けておこなわれていたということをご存知でしょうか?
「クルーズ客船」という大きなキャンバスに対し、自分の思いを乗せてデザインを施すという大変貴重なコンテスト。 全世界のクリエイターやデザイナー向けに、昨年2021年にMSCクルーズとして初めて実施されました。
〈船体デザインコンテストの概要〉
MSCエウリビアの船体に施す船体デザインを、世界に向けて広く公募するコンテスト。 コンテストの入賞者にはさまざまな副賞が与えられ、賞金、そしてMSCエウリビアでのクルーズ旅行もプレゼントされる。
船名の由来は「海の女神」
客船名である「Euribia」=エウリビアは、ギリシャ神話の女神である「エウリビア」が由来している。ただしこのコンテストでは、客船名の由来である「エウリビア」には捉われないアイディアを求められた。
環境に優しいエコシップ
MSCクルーズ2隻目のエコシップであるMSCエウリビア。自然への負荷を出来るだけ抑えた、持続可能な客船であるということが大きな特徴となっている。このコンテストでもエコシップという特徴を生かしたデザインが求められた。
コンテストテーマは「海への愛」
“Key themes 〜Love for the sea, respect for the marine environment and for sustainability.〜”
「海への愛、持続可能な海洋環境へのリスペクト」
として、海や海洋を大切に思う気持ちを表すことが、コンテストのデザインの条件となった。
▼▼MSCエウリビアの船体デザインコンテストについて、詳しくはこちら▼▼
▼▼客船MSCエウリビアについて、詳しくはこちら▼▼
1-2. 受賞者、船体デザインが決定!日本からも選出
世界中のアーティスト、デザイナーに向けておこなわれた、「客船MSCエウリビアの船体デザインコンテスト」 受賞者が、そして船体デザインが決定しました。
59カ国から応募、大賞受賞はドイツから
今回の船体デザインの募集には、世界中からの応募があったとのことで、その数59カ国。 見事大賞を受賞し、作品が客船MSCエウリビアの船体デザインに決定したのは、ドイツのアーティストであるアレックス・フレミング氏。
採用されたアレックス・フレミング氏のデザイン
#SAVE THE SEAをグラデーションで表現
フレミング氏は、海洋生物が生息する水中世界をモチーフにして、MSCクルーズとMSC基金ロゴの色を織り交ぜ、海の動植物をグラデーション効果を利用して描いた作品で、見事大賞を受賞しました。
ユニークな海中世界の表現と保全のメッセージを込めて
受賞を受けて、アレックス・フレミング氏は次のようにコメントしています。
「貴重な生命を育むこのユニークな海中世界をより多くの人に知ってもらうために、この生態系の一部をMSC エウリビアの船体上にグラフィカルに配置しました。」「私にとって重要だったのは水中世界の表現だけでなく、水中世界がどのように保全されるべきかというメッセージを伝えることにありました。また、健全な海は陸上の生態系の基盤でもあることも表現しました。人々にインスピレーションを与え、環境保全への参加を促し認知を広げることは今でも重要だと思います。」(アレックス・フレミング氏 談/MSCクルーズジャパン公式HPより)
2. 日本から選出のTamiyo Hashimoto氏
コンテストではなんと、日本からも受賞者が。 ファイナリスト5名のうちの1人として選ばれた、日本で活動しているアーティストの Tamiyo Hashimoto氏。
彼女が手がけた作品はどんなデザインなのか、どのような思いで今回のコンテストに応募をしたのか、などをクルーズマンズに語ってくれました。
Tamiyo Hashimoto氏の受賞デザイン。可愛らしく海洋生物が表現されている
2-1. 受賞作は「北斎」から着想
ウミガメやタコ、サメやヒトデ、魚の群れなどといった海洋生物をブルーをベースにどこか可愛らしく表現している今回の作品。 なんと、日本人には馴染み深い江戸時代の浮世絵師である葛飾北斎から着想を得て、イラストレーションに落とし込んだというのです。
Tamiyo Hashimoto氏は、今回のデザインをどう着想を得て、どのような考えで船体に表現したかをクルーズマンズに語ってくれました。
Q.デザインでどのような世界を表現しようとしましたか?
船の片側で海中の世界を、そして反対側は海の上の生命を見せようとしました。 すっきりとしたデザインのために海中の大きな生き物の形の中に小さな海の生き物や植物を描きました。色のグラデーションを使うことができなかったので、その代わりに実線の形でグラデーションを使って奥行き感を出しました。動きのある印象を与えたかったので、波を追加しました。
Q.デザインのために、何かインスピレーションを受けたものはありますか?
(客船船体の)鼻の部分は北斎の「神奈川沖浪裏」から、側面の部分はスカーフの形からインスピレーション受けました。このデザインは、海の世界の生物の形を微妙な色と組み合わせており、エウリビアの船体を海の世界の一部のように見せようと考えました。 海洋の世界を生息地を守るためには、謙虚でなければならず、海洋環境に溶け込む必要があると思います。
Q.デザインする上で注意したこと、苦労したことを教えてください
あまり多くの色を使用しないこと、色のグラデーションを避けることに気をつけました。 (船体にほどこすためには、大きなデザインである必要があるので)詳細なデザインを避けるために形だけを使用し、色のグラデーションの代わりに色のストライプを使用して大量の色をシミュレートしました。 私はソフトウェアやアプリで絵を描くのは得意ではないので、手描きのスケッチのいくつかをスキャンしてillustratorでトレースしました。デザインが完成したら、Photoshopを使用して船の写真に適用し、デザインをよりリアルに表示しました。
3. クルーズ旅行について聞きました
デザインをする上での苦労や、どんな思いを載せて船体に表現をしたのかを語ってくださったTamiyo Hashimoto氏。
クルーズ旅行に対してのお考えや、出身地ブラジルでのクルーズ旅行人気の高まりについても語ってくださいました。(MSCクルーズによると、2021-2022シーズンのブラジル国内プログラムのクルーズ利用者が、2021年11月のシーズンがスタートしてから通算で約117,000名に上ったと発表しています。)
Q.クルーズ旅行に対する想いがおありでしたら教えてください
私は旅行が好きですが、クルーズ旅行をしたことはまだありません。最近猫を飼い始めたので長い旅行をしていないというのもあります。でもいつか。。。猫と一緒に!
Q.Tamiyo様のご出身地ブラジルでのクルーズ人気が近年高まっているようですが、いかがですか?
私がブラジルに住んでいた当時は、クルーズ旅行は裕福な人々のためだけのものでした。しかし近年は、若者の間でより身近で人気のあるものにするため、約10年前ぐらいに一部のクルーズ会社が高校の卒業旅行のクルーズを推進し始めました。(卒業旅行は若い大人にとって非常に特別なことです) このクルーズでは、卒業旅行には不可欠のプロムパーティーが、船内イベントとして組まれており、人気のようです。一部の企業では、クルーズ旅行と15歳の誕生日(15歳の少女の誕生日を祝う)パーティーを組み合わせたものも提供してるようです。
ブラジル/コルコバードのキリスト像
ブラジル/イパネマビーチ
4. Tamiyo Hashimoto氏の主なプロフィール
ブラジルで生まれ育つ。 マッケンジー大学でインダストリアル・デザイン(主にビジュアル・コミュニケーション・デザイン)を学ぶ。 7年前より、墨絵を学びはじめる。 2017年にはUAL(ロンドン芸術大学)のオンライン・ファッション・イラストレーション・コースを受講し、ファッション・イラストレーターとなることを決意。 現在は日本を拠点として、フリーランスのグラフィックデザイナー、イラストレーターとして活動。 www.fidaworldwide.comより
4-1. ポートフォリオ
©️Tamiyo Hashimoto
©️Tamiyo Hashimoto
Tamiyo Hashimoto氏のポートフォリオを見る(Talent house HP)
5. まとめ
MSCクルーズ初の試みである、客船の船体デザインを公募で決定するという「船体デザインコンテスト」 世界59カ国からの応募があったとのことで、大変な注目を集めていたことが分かります。
大賞となり、見事客船MSCエウリビアの船体デザインとして採用された、ドイツのアーティストのアレックス・フレミング氏の作品は、MSCクルーズが訴える「#SAVE THE SEA」をストレートに表現しながら、波や海洋生物が1つのデザインとして融合したもので、見るものにインスピレーションを与えるようなデザインでした。
日本からファイナリストとして選出されたTamiyo Hashimoto氏の作品は、海洋生物がファッショナブルに描かれているのはもちろん、どこか暖かみも感じる見事なデザインでした。
Tamiyo Hashimoto氏はクルーズマンズ の取材にお答えいただき、作品の制作過程での心情や、クルーズ旅行に対しての想いなど、さまざまなメッセージをお寄せくださいました。深くお礼を申し上げます。
※ 記事内に紹介されているクルーズ船や寄港地の情報については、記事執筆者の経験や情報収集に基づいた参考情報であり、実際の内容と異なる場合や、内容が変更されている場合があります。
※ 最新の情報については船会社や港湾の公式ホームページのご確認や、ご予約に利用される旅行代理店へのご確認をお願いします。