「引退」ではないのですが、個人的に最も惜しまれてこの世からいなくなってしまった客船としてはやはりノルウェー(のちスウェーデン)のStella Polarisを挙げたいです。世界最初(諸説あります)のクルーズ専用船として誕生、何度かの世界一周クルーズも経験し第二......
「引退」ではないのですが、個人的に最も惜しまれてこの世からいなくなってしまった客船としてはやはりノルウェー(のちスウェーデン)のStella Polarisを挙げたいです。
世界最初(諸説あります)のクルーズ専用船として誕生、何度かの世界一周クルーズも経験し第二次大戦を生き延びた美しき北欧令嬢は、約50年前に日本にやってきて伊豆半島の付け根、富士山の見える沼津三津の景勝地の入り江に錨をおろしフローティングホテル「スカンジナビア」となりました。
学生時代に初めて彼女を訪れてその船体の美しさや調度品の優雅さに虜になり、それ以来何度も訪ねては宿泊して在りし日の彼女の地中海やフィヨルドの船旅に思いをはせたものです。
やがて経営難からホテル業務を終了し、レストランとして再生したものの長続きはせず、やがて海外売船と決まった時は「生まれ故郷の北欧の地で穏やかに余生を送ってください」と願いながら多くの人々と一緒に見送ったものでした。
ところがその数日後の曳航途中に彼女は老朽化による船底の傷みからくる浸水であえなく紀伊半島潮岬沖で沈没し二度と浮かび上がることはありませんでした。
購入先の計画では上海で一旦ドック入りして修理してスウェーデンに回航するとの計画だったそうですが、なぜすぐ近くの清水の造船所でドック入り出来なかったのか?返す返すも残念でなりません。
彼女が繋留されていた西浦木負のすぐ近くのカフェ「海のステージ」さんには現役当時の写真や資料、遺品が数多く保存され展示されています。
ご興味のある方は一度訪ねてみてください。