19時の出航に合わせて右舷、左舷へとせわしなく「いい画」を求めて移動する。
もっと望遠のレンズを持って来ればよかったと後悔しながらもシャッターを切っていた。
Deck12にある時計も見てはいたつもり。・・・つもりだった。
ひとつレストランを逃してしまった。
レストランの入口では予約の時間と名前、そして前日までに届けられているその「レストラン」からの招待状が船内新聞と共に挟まれている。
結構楽しみにしていただけに悔やまれるがその入口で「NO」と言われてしまった。
多くは語られなかったのが余計にさみしい。
手の動きも加え、顔で「残念だ・・・」と言わんばかりの表情も付けて。
同情してくれている。
諦めるしかないネ・・・。
・・となったら途端にお腹は空いてくる。
食べるところがない訳ではない。
グランドダイニングがある。
本当ならば明日、ここで食べて最終日を「ジャック」で食べる予定だった。
だからグランドダイニングが2回、初日と合わせて3回食べることになる。
今日はあのフィリピンのウエイターは別のテーブルに付いているようだ。
妙に胸を張った独特の歩き方が特徴で丸顔。
幼く感じるが声はバリトンとまではいかないまでもいい声をしている。
目を閉じていたらイメージとしてはガタイのいい金髪に近いブロンドで随分と高い位置に口がありそうな白人のイメージだ。
イメージとは真逆な彼が今晩の逃したディナーの給仕に付く。
ここの食事が嫌な訳ではない。
先にも書いたようにキャビアだって、フォアグラだってトリュフにしても申し分はない。
ただ、逃してしまったと思うとより「食べて見たい」!のだ。
たった3〜4日で贅沢になってしまっている。
妻と時差に関しての反省をしながらの食事が進む。
ウエイター達は僕らの話している内容は分からないだろう。
あの、フィリピンのウエイターが僕らの存在に気付いた。
少し離れた8人程を相手にしている。
空いた皿を下げて厨房に向かうほんの少しの時間に顔だけをこちらに向けて「いらっしゃい」とでも行っているような口角の上がり方と同時に首をかすかに下げた。
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