先日、米国ユナイテッド・ステイツ・ラインズの高速客船ユナイテッド・ステイツに関して書きましたが、その後、この会社についていろいろと調べてみました。
このユナイテッド・ステイツ・ラインズと言う会社自体は1980年代のおわりごろ消滅してしまいましたが、実はこの社名がたった一年間だけ復活しているんです。
2000年、当時ハワイ諸島クルーズでインデペンデンスという古い客船を就航させていたアメリカンハワイクルーズという会社の母体アメリカン・クラシック・ボヤージュがホランドアメリカラインから、ニュー・アムステルダム(33930、1984年建造)という客船を購入して、「パトリオット」と言う名前でハワイ諸島クルーズに就航させました。
その際、この航路の名前を昔からアメリカ人が慣れ親しんだ「ユナイテッド・ステイツ・ラインズ」として登録しました。
ここに伝統あるユナイテッド・ステイツ・ラインズが復活したわけで、この会社はさらに8万トン、1900人乗りの新型クルーズ客船2隻をこの航路に就航させる計画も発表、「プロジェクト・アメリカ」と名付けられました。
かつてのUSLの大西洋航路の花形客船にちなんで一隻目は「アメリカ」、二隻目は「ユナイテッド・ステイツ」と命名される予定だったそうです。
パトリオットは順調に航海していましたが、2001年9月、アメリカで同時多発テロが勃発、この船もテロの標的にされていると言う噂が出て客足は激減、とうとうこの航路は一年ちょっとで閉鎖されました。
確かに「合衆国航路」の「愛国者=パトリオット」、アメリカ軍のミサイルにもなっている名前ですからいかにも反米テロリストが好みそうな感じではあります。
もちろんプロジェクト・アメリカも中止となりましたが、一番船はすでに着工済み、その建造途中の船を買い取ったのがマレーシアのスタークルーズグループ。
この計画を引き継ぐ形で、アメリカ国内に、NCLアメリカというクルーズ会社を立ち上げ、米国客船「プライド・オブ・アメリカ」として昨年ハワイ諸島クルーズに就航させ現在に至っています。
この船が名乗るはずだった船名「アメリカ」は現船名の一部に生かされ、図書室がSSアメリカ・ライブラリーと名付けられて、USL大西洋航路時代の遺品が飾られているそうです。
上の絵は新「ユナイテッド・ステイツ・ラインズ」が順調にいっていれば第二船として就航する予定だった「ユナイテッド・ステイツ」を現プライド・オブ・アメリカの写真、プロジェクト・アメリカの完成予想イラスト、パトリオットの写真などをもとに、わたしの想像で描いてみました。
もしハワイに行かれて、プライド・オブ・アメリカの巨大な姿を見かけたら、こんな話を思い出していただければと思います。
追記その1、ユナイテッド・ステイツ・ラインズは近年、香港に本拠地を持つコンテナ物流の会社がその名前を使ってアジア〜アメリカ間のコンテナサービスを行っているようです。2度目の復活ですね。
追記その2、パトリオットは現在イギリスのクルーズ会社トムソン・クルーズでトムソン・スピリットと言う名前で活躍しています。
プニップさんこんばんは。またUSLネタで嬉しいです。この絵を見た時「なんだか見覚えがある」と直感したのに架空の船でした・・。顔がどっかで見た事あるような・・。船体の大きさはボイジャー・オブ・ザ・シーズ級みたいに見えますね。これも傑作!
sanakoさん、記事にもあるようにこの絵は実在のプライド・オブ・アメリカをもとに描いたものです。雑誌とかパンフでおそらく見たことがあるはずです。もっともずっと派手ですけどね。http://www.ncl.com/fleet/pam/intro.htm
この客船は特に好きです。
あすみさん、ハワイのホノルル港に行けばこの絵の船の現在の姿が見られますよ。ものすごく大きいです。
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