1921年(大正13年)創刊のかつての大阪商船の広報誌「海」の流れを汲む、商船三井客船 にっぽん丸のリピーター向け広報誌「海」の89号が発刊になりました。
今回も前号に引き続き、私が表紙のイラストを担当させていただいております。
見ての通り、昇る朝日を背景にこちらに向かって進んでくるにっぽん丸の構図なのですが、その朝日を挟んだ反対側になんだか古そうな白い客船が走ってくるところが半分だけ描いてあります。
メッチャ中途半端なイラストやなぁ
…と思いながらなんとなく裏表紙を見てみると
今度は白い客船が三隻こちらに向かってくる構図
これも左端の船が半分切れているやんか!
…と思いつつも今度は表紙と裏表紙を同時に開いてみると じゃーん! こうして4隻のにっぽん丸が並んでこちらにやってくるという、このまま貼ればA3サイズのポスターにもなってしまう一枚の絵だったわけですね。
右端が大阪商船の南米航路の貨客船の あるぜんちな丸として1958年に完成し、移民船として活躍しながらも定期航路時代が終わり、1972年に改装されてクルーズ客船となった初代にっぽん丸
隣が現在の3代目にっぽん丸が30年前の1990年に完成した時のまだ白かった姿
さらにその隣で可哀そうにも半分に切られちゃってるのが、1962年建造のブラジル客船 ロサ ダ フォンセカROSA DA FONSECAを1975年に購入して改装した2代目にっぽん丸(購入当時はパナマ船籍のセブンシーズ)
そして、左端が現在のにっぽん丸という絶対に現実ではありえない構図
もし仮に奇跡的に初代と二代目が生き残っていたとしても右から二番目と左端は同一の船なので無理ですね。
これが出来てしまうから絵は便利ですね~(…とドヤ顔)
…
実はこの絵、先にも書きましたように現在の にっぽん丸が今年就航30周年を迎える記念の年と言うことで、商船三井客船さんから今までの「海」とはちょっと違った表紙にしたいということで描かせてもらった特別バージョンで、こうした裏表の表紙にまたがった絵を載せるのは初めてとのことでした。
…
ちなみに前回88号の表紙の私の絵はこんな感じです。 夕暮れの東京港に入港する構図です。
…
そしてA4サイズの紙に今回も水彩とペンで描いた今回の原画はこんな感じでした。 いま改めてみるとずいぶんどぎつい感じなのが、表紙ではうまい具合に淡くアレンジしてもらってますね。
…
この歴代のにっぽん丸を4隻並べて一枚の絵にして描いてほしいという要望をいただいた時、実は2種類のラフスケッチを描いて提案いたしました。
ひとつはこの構図、もう一つはやはり4隻が並んで航行しているところを斜め左前方からの俯瞰の構図で描いたもの
2枚のラフを比べる形で商船三井客船社内で検討されて、最終的に今の構図に落ち着いたのですが、どうやら同社の山口社長はもう一つのボツになった俯瞰図を強く推していたそうです。
それがまるで通らなかったというところがワンマン会社ではない、風通しのいい同社らしくて面白いですね\( 'ω')/
…
今回の「海」は表紙だけでなく内容も30周年と言うことで普段とは違った構成になっています。
特に意見が通らず可哀想な(笑)山口社長と著名なクルーズライターの上田寿美子さんとの対談はとても興味深く読むことが出来ました この小冊子、にっぽん丸のリピーター乗客向けのため、残念ながら一般の方が手に入れることは出来ません。
でもにっぽん丸に乗るとフロントの前の棚にいっぱい置いてあって自由に持って帰れます。
今度乗る機会があればぜひご覧になってみてください。
表紙の原画は4月18日~25日の横浜YWCA会館での私の個展でも展示しますよ~
…と最後は結局、個展の宣伝でした(^▽^;)
船の歴史などは興味あるのですが本で読んでもなかなか頭に入らず・・・でも、こうやって絵で教えていただくと、頭に入りやすいです!😀
個展もお邪魔させていただきます!
kanaさん、船は人類が最初に発明した乗り物。その歴史は深すぎてなかなか私も入り込めないですが、こうして少しずつでも辿って行くのはとても楽しいです。
これからも歴史のある船の話をこのブログでも色々触れていきたいと思います。
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