横浜港のシンボルのひとつとも言うべき、戦前の保存客船、氷川丸を訪れたことがある方なら、この船が係留されている桟橋の突端に、白い灯台が置かれているのを目にしたことがあるかもしれません。
明治時代、横浜港を波浪から守るために築かれた内防波堤の先端に置かれた二つの灯台のひとつで、その色から白灯台、もうひとつは赤灯台と呼ばれていました。この二つの灯台の間が入出港の水路になっていました。
初代は木造、現存するものは関東大震災以降に建てられた鉄筋コンクリート製だそうです。
赤灯台は今でも横浜港内の真ん中に存在していますが、なぜこの白灯台だけが氷川丸の隣で保存されているかと言うと、一隻のイギリスの大型客船がきっかけでした。
その船の名は2代目カロニア(34274、1948〜1969)。イギリス、キュナードライン所属のクルーズ兼定期客船で、当時毎年春に世界一周で、その独特のライトグリーンの船体を日本の港に現わしていました。
もちろんわたしは実物を見たことはありませんが、キュナードのフリートの中では一番好きな船です。
ちなみに先日来日した、サガルビーはキュナード時代の後期にカロニアと呼ばれていました。3代目にあたります。
昭和33年4月、恒例の世界一周クルーズで日本を訪れたカロニアは横浜出港の際、操船ミスで当時防波堤の突端にあったこの白灯台に衝突してしまいました。
以前からこの事件のことは知っていましたが、どんな状況なのかは分からず、もし写真でもあれば見てみたいものだと思っていました。
ところが先日、大桟橋にぱしふぃっくびいなすの船内見学会に行った折に、ふとしたことからこの時の写真を見ることが出来ました。
大桟橋の船客ターミナル、インフォメーションカウンターの近くで大桟橋の歴史展のようなパネル展示をやっていて、その中の一枚に、そのときの状況を写した報道写真を発見したのです。
美しくカーブを描いたカロニアの船首が白灯台と接触し、船体は左舷に傾いています。デッキにはその状況を一目見ようと多くの船客が右舷側に鈴なりになっています。
前景には対岸の赤灯台、当時の緊迫した状況がよく伝わる、素晴らしい写真です。
上の絵はその写真のわたしの模写で、オリジナル写真はモノクロームですが、絵にするにあたってわたしの想像で着色してあります。
もちろんオリジナルの写真のほうがずっといいので、大桟橋に行かれた方はぜひご覧になってみてください。
この事件は出入港船が通過する、赤灯台と白灯台の水路の幅が240メートルと非常に狭かったことも原因のひとつと指摘され、その後、水路を山下埠頭側に500メートルに広げることによりこの灯台は撤去され、現在に至っています。
山下公園からも見ることの出来るこの小さな灯台、普段見過ごされがちの風景ですが、横浜港の長い歴史の中でこんな事件があったことも覚えて置いていただければと思います。
punipさん、こんにちは。港の歴史の一幕を絵に描かれたのは素晴らしいことですね。その時の関係者のパニック振りが想像できます。 神戸のまつ
今月で横浜に出張があるので後ろで休み取って横浜港に行こうと思ってたところです。お勧めポイントとかアクセス便利な駅とか、ええ景色のホテルとかなんか情報あればまた教えてください。
まつさん、横浜も神戸も歴史が古いですからね、いろいろな事件、出来事があります。少しずつご紹介していきます。
え!klckgさん、愛チャリで来るんでっか?(笑)お勧めポイントはありすぎでんがな、とりあえず日本大通で地下鉄降りて、大桟橋まで来て見てください。元関西汽船のロイヤルウイングは大抵いてます。そこから赤レンガ倉庫、氷川丸、みなとみらい、どこでも歩ける範囲で行けますし、大桟橋の手前にレンタル自転車もあります。ホテルはよく知りません、ごめんなさい。
なるほど、ありがとうございます。おのぼりさんしてきますわあ(^−^)
klckgさん、大桟橋に大型客船泊まっているといいですね。神戸の人から見た横浜港の感想、楽しみです。ホテルはメルパルク横浜が港に近くて、安くていいのではないでしょうか?
お邪魔します。ランダムから来ました。宜しかったら私のブログ見てください.
PUNIPさん、先日お話した夜景のイラストアップしちゃいました
カロニアでした TBさせていただきます!
トラバさせていただきました。
私の記念すべき第一号のブログです。
白黒ですが、カロニアの船内の写真もあります!
ふねきちさん、トラックバックありがとうございます。
神戸港の「カロニア」!しかも船内写真満載!素晴らしいです。かなり貴重なものだと思いますよ。
コメントを投稿する
コメントを書く