最近、ハマっているウッド・バーニング作品の第二弾が完成しました。
描いたのは先日の「新田丸」同様に太平洋戦争開始直前に建造された大阪商船のアフリカ航路用貨客船「報国丸」(10439トン、1940年建造)・・・あの天才船舶工学博士、和辻春樹氏の手による美しいデザインの船です。
ハウスを船体中央部にバランスよくまとめ、最近のクルーズ客船のようなシア(船体の前後の反り返り)の無い「あるぜんちな丸」に通じるスタイルは実にかっこいいですね。
でもなぜかこのクラス(「愛国丸」「護国丸の3姉妹」)は一度も描いた記憶なく、いつか機会を探っていただけにこのウッド・バーニングはもってこいの素材でした。
背景はもちろん南アフリカのケープタウン港・・・実際にはこの船の初入港の際は船体の前後に大きく日の丸が描かれているのですが、あえてこの絵では省略しています。ですからあくまで架空の入港風景とお考えください。
結局この船が商業航海でこの港に入港したのはたった一回だけ、でその後は大連航路にしばらく就航したのち戦時徴用されて特設巡洋艦になり戦禍に没しています。
でもこの船はまだましなほうで、姉妹船の2隻などは商船として就航することすら叶わなかった・・・そんな時代の産物でした。
こうしたバーニングアートもこれで2作目、だいぶ扱いが慣れてきました。
こんどは木材ではなく、もう少し違った素材に挑戦してみようと思っています。
待ってました、って言っていいのか。
早速トラックバックさせていただきました。
しかし面白い道具に目をつけましたね。
ウッドバーニングなんて全く知りませんでしたよ。
ARCadiaさん、トラックバックありがとうございます。「愛国丸」の模型を持っているなんて羨ましいです。
このバーニング・アートはセピアっぽい仕上がりももちろんいいのですが、木の焦げるにおいが何とも堪りません。病み付きになりそうです(笑)
愛好家は結構いるようですが、鳥や動物の絵が主流で客船を描くのはもしかしたら日本でわたし唯一人かも知れません。
和辻博士の設計はどれもデザイナーの個性が出ていますね。この船に限らず、大戦勃発直前の船が一番好きです。日本の客船が最も美しかった頃、そしてどの船もすべからく不幸な末路。戦争がなければ華々しく活躍できたのに。郵船の三池丸も好きです。生き残っていれば戦後は氷川丸の代わりにシアトル航路に就航したのでしょうか。
Berlinerさん、ただ、この3隻もNYKクラスも「あるぜんちな丸」姉妹も、もちろん「三池丸」も戦争の際は海軍に徴用できるという前提で政府の補助を受けて建造された、ある意味、「生き残らないリスクを大きく背負って生まれてきた船たち」なんです。
当時の政治情勢がなければもしかしたら存在しなかったのかも知れない…そう考えると複雑な気分です。
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