レディファストの初老のご夫婦と簡単な会話を交わす。
「オーシャニアクルーズ」ですか?
君達もか?
「ハイ」
「どちらからお見えになったんですか?」
「オーストラリアだよ。」
「君達は?」
「僕たちは日本からです。」
「日本のどこ?」
「岐阜です。」
やはり岐阜は知らないようだ。
じゃあ、また船内で!
彼らは、いや彼は奥さんの分のスーツケースと自分の分の2つを引きずりながら歩いて行く。
この先はyoutubeに載っていなかったので右に行くのか左に行くのかわからなかった僕たちは
少し遅れめに彼らの後を追う。
もちろん各自でスーツケースは持ってのことだ。
「船旅」初心者の僕たちはそこにゲートがあることは知らなかった。
彼らの後を追うと質素なゲートがあってそこに保安員がどの船に乗るのか等を聞いてくる。
後ろをキープしていた僕たちは彼らのやりとりを聞いてそこで初めてスーツケースにタグを付けた。
「オーシャニアクルーズ」の旗が立っている。
そこに送迎のバスがピストンしている事は聞いていたので止まっているバスに乗れば「船」まで運んでもらえるのだ。・・・と思っていた。
そこにいるバイトのような若い女性はこのバスは違うから歩いていけ!と言う。
オーストラリアの方達も歩いている。
まだ両手にスーツケースだ。
きちんと舗装されているわけではないその道は歩くには何も問題はないのだがスーツケースを引くには少しばかり疲れるくらいの荒い舗装となっている。
30メートルほど先を行く彼らはそれに疲れたのかご主人を気遣ってなのか奥さんが自分のスーツケースを引き出した。
後ろを振り返るとポツポツとだがそれらしき人たちがスーツケースを押したり引いたりして同じ方向に向かっている。
方向に間違いのないことを何となく安心してしばらく歩くとそこには待ち焦がれた「オーシャニア」号?と言えばいいのか間違いなく煙突のところに見慣れたブルーのファンネル。
あの「名刺」に向かって再び元気が湧いてくる。
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