冷えた身体を温めよう。
バスタブは毎日綺麗に掃除をしてくれている。
〝 円 〟を4分の1に切ったサイズのシャワー室。
仕切りはシャワーカーテンではなく扉が付いているので外にシャワーのお湯が漏れる心配もない。
170センチ程しかない僕の体型でも肘を伸ばして身体を洗うとぶつかるのが少しだけストレス。
アメニティはブルガリが用意されているが美容師の僕達にはそのアメニティよりサロンで使っているシャンプー、毎日使い慣れたものの方が髪に馴染む。
ボディソープも使い慣れたもの。
こういった品は妻がこの日のために用意をしている。
何度も言うが女性はこの〝 用意 〟から旅が始まっている。
扉をあけて浴槽に浸かって今日1日の疲れと体温を取り戻す。
足も十分に伸ばすことの出来る浴槽は〝 浸かる 〟文化の日本人には・・と言うかわれわれ世代には必要だ。
今日これから「ジャック」での食事。
フランス大統領・・・。 云々である。
最後の食事と期待までして〝 結婚記念日 〟のディナーから外したほどの気負い。
しかし、ここまで毎日のように美味しいものを食しているとはたして〝 それ 〟を超えてくれるのだろうか。
妻が浴室に向かう前にボソッと宿題を投げる。
「私が入浴している間に両替をしてきてほしい」との事。
ここ数日のあまりの残金の無さに残す1日を心配してのことか?
尋ねれば「お・み・や・げ」だそうだ。
そう。
今日のメッシーナまでのタクシー代:一人=85ユーロ
最終下船地のチベタベッキアから空港までのタクシー代:一人=60ユーロだったと思う。
食事や観光にはお金はかからないが乗り合わせて行く交通費には頭数で割った金額が掛かる。
また、寄港地先での昼食代やお土産など一つ一つをみれば大した金額は掛かっていないが僕達にはなんせ分母が無い。
そんな事で妻に頼まれた宿題を済ますためレセプションにキャッシュを取りに。
クレジットカードに加算されるので手間はかからない。
乗船カードを渡して欲しい金額を言えば手渡してくれる。
銀行より簡単だ。
ただしレートは高い。
妻は温まった身体と財布にご満悦のようだ。
財布に詰める €。
無くすんじゃないぞ。
「もう君は財布ごと無くしているんだから」・・とはこの旅の間は口が裂けても言わまい。
「取られてもいいように」と用心のために持ってきた雑誌の付録の財布。
今はこれがメインじゃないか。
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