さあ、優雅なアフタヌーンティーを終えた僕等。
この後はポートドリル(避難訓練)が待っている。
訓練の合図は廊下にアナウンスが流れる。
英語のよく分からない僕たちは事前に聞いていたのでこれが訓練用のアナウンスだと理解できた。
言っている内容は分からないがとにかくクローゼットの中の「救命胴衣」を持って廊下に出ればいい。
「飛行機」の訓練と「船」と違うだけだ。
しかし船の場合はデッキごとに集められる場所が違う。
なんせこの船だけで1250人程のゲストが乗船しているのだから。
部屋の中でアナウンスを聞いていれば済む。
・・と言う問題では無い。
廊下に出ると部屋のクリーニングを担当していてくれた方やスタッフさんが「あっちに行け」
「こっちに行け」と指示を出している。
こちらは指示に従って移動すればいいことだ。
救命胴衣に付けられているNoを見て移動場所を指示しているようだ。
僕達のデッキはDeck5の船首、色々なプロダクションショーの行われるステージのある場所に集められた。
ここでは「エクスカーション」=「寄港地観光」に出かける人達は一旦ここで寄港地の説明等を受けるようだ。
しかし僕達は何度もお伝えしているように「無料の寄港地ツアー」があるのでここに集合することは一度もない。
何かしらの「ショー」を観るならばここの場所に来ることがあるだろうが。
事なく集められた乗船客達はショーを観るための椅子に腰掛けステージ上で全員揃っているかの確認をしているスタッフをどこを見るでも無く時間を過ごすのみだ。
たまにスタッフがランダムに番号を読み上げその番号の乗船客が居るかを確認している。
時間にして30分程だろうか150人程が詰められたこの船首の人間達をそのまま部屋に帰しては混雑が免れないので順を追って帰路につけている。
まだ来ない順番を待っていてもなぜか心は穏やかだ。
これが船旅の余裕なんだろう。
これからどこに帰ると言うこともなく24時間を移動と食事、観光を含めて楽しめるのだから。
空席も目立ちはじめてきた。
周りを見渡すと今日一緒に寄港地散策を楽しんだ方達もおられる。
ご挨拶から始まって部屋のフロア(デッキ)の話からここら辺で簡単な自己紹介のようなお互いの詮索?が始まる。
皆、それなりの人生を過ごして来た方達なので多く、踏み込むようなことは聞いて来ない。
こちらもそのつもりでこの旅が皆を不愉快にさせないような「旅」になる事を望んでいる。
振り返ってみればここでお会いした方達は船旅のゲストを熟知した方達ばかりだった。
このショー劇場からの出口に差し掛かった時数組の車椅子の方や電動車椅子のご高齢の方が居られることに気が付いた。
僕達とは違う黄色の反射板のついたスタッフがその方達に話し掛けながらゆっくり、ゆっくり押しているのが印象的だった。
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