見とれてる時間を惜しみながら目的のジャックへ。
入り口ではクリーム色に近い白いジャケットにDrop Knotに結ばれた黒い蝶ネクタイ。
〝 ちょっと違うぞ 〟感。
ジャケット着用は勧められたわけでも聞いたわけでもないが生きてきた経験で覚えた本能とは別のもの。
しかし、ここでもあの「日本語メニュー」は手放せない。
全体的に全てのレストランよりは狭い感じを覚える。
広さを演出している一部の鏡は圧迫感を排除するためなのか高級感のそのためかはこういった場に慣れていない僕等には想像の範囲でしかない。
リザーブはいつも二人席だ。
案内していただいた席のお隣には見慣れた顔だ。
今日、乗り合わせたご夫妻が。
会釈をするのにもよそよそしさはなくなっている程の親近感だ。
メインディッシュと思われる草鞋のようなステーキを指差して「食べきれないよ」と笑ってくる。
アルコールを除くメニューを一通りウエイターに伝え少し大きめなナプキンを膝の上に広げる。
一品、また一品。
白いカッターシャツに黒いベスト。
エプロンをまとった姿がここのウエイターのいでたちらしい。
彼らは食事のタイミングを計らってくれている。
よそのテーブルから僕達のテーブルを通り過ぎるウエイター。
「 Bon appetit 」
「??」
次の皿を置く度に「 Bon appetit 」。
通り過ぎ様に「 Bon appetit 」。
わざわざ言いに来るスタッフまでいる。
フォークを口に運ぶタイミングで声をかけるのだけはやめてょ。
「 Bon appetit 」。
何言ってんの?
そう言えば・・今思えば全てのレストランで掛けられた言葉だ。
聞き取る余裕さえなかったがここに来て呪文のように耳に残る。
あのフィリピンのボウイもバリトンも・・・
さっそく携帯様にお尋ねしてみる。
「・・・・・・・・・」・・そう言う事か。
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