らっ子さんの記事で、1998年のにっぽん丸の世界一周で起きた出来事が出てまして、コレに関連して補足記事を...
らっ子さんの記事
USPHってご存知ですか?
【USPHとは?】 米国公衆衛生局(US Public Health Service)は、海外から合衆国の港に寄港する客船の衛生検査を実施する権限を有し、この検査は伝染病の侵入/拡大/伝播をもたらす害虫/汚染された食品/水/その他非衛生な状態の存在を確認するために実施されますが、また利用者保護の観点から客船が実現可能な高い衛生水準を満たすことを確実にするために到達すべき衛生基準を明確に示した上で、政府の監督権限を以て民間会社に関与すると規則に定め、USPHSの一部局であるCDC(疾病予防センター Centers for Disease Control)が実施部隊であるVSP(Vessel Sanitation Program)の検査官を全米各港に派遣して検査を実施します。
船の衛生状態がどうかという検査なのですが...
これ、結構肝で、コレに不合格になると、ある一定期間のうちに対策を施して再検査を受けて合格しないとアメリカの港に入れなくなったりしてしまうというかなり厳しいもの。
ちなみに100点満点で、85点以下が不合格です。
いろいろな船がこの検査の洗礼を受けているのですが、有名な船も例外ではないのです。
2003年に、当時、世界で最も有名な船であるクィーンエリザベス2(QE2)がこの検査で不合格になったことがありまして...(ちなみにその時の点数は85点です)
このニュースが世界を駆け巡ったのです。
そんな中、日本を代表するMOPASが、こんなニュースを自社のWEBに載せました。
※今でも載ってます。
本船設備に関する米国公衆衛生局(USPH)の検査結果について
にっぽん丸は、約5年半連続して 日本船最高得点を獲得! 米国公衆衛生局のホームページで発表されたデータにより明らかになったもので、年末年始の「ニューイヤーグアム・サイパンクルーズ」の途中のグアムで昨年12月31日に実施された「にっぽん丸」の船舶衛生検査の評価点(100点満点)が、世界の他の客船の得点とともに公開されています。 さらに、本船は現在 内閣府主催の「世界青年の船」で航海中ですが、2005年2月1日にオーストラリアの公衆衛生局による衛生検査が実施され、その結果98点の高得点を得ています。検査官は、船齢が14年以上経っているとは思えないほど、きれいな厨房やパントリーなどのフード・エリアである、とコメントをしてくれました。 にっぽん丸の検査結果 1999年07月 98点 (日本船第一位) 2000年06月 99点 (日本船第一位) 2000年12月 99点 (日本船第一位) 2001年03月 99点 (日本船第一位) 2002年04月 96点 (日本船第一位) 2003年07月 98点 (日本船第一位) 2003年12月 97点 (日本船第一位) 2004年12月 97点 (日本船第一位) 「にっぽん丸」は、2000年6月から2001年3月の検査において、4回連続して99点をマークしましたが、これは 2000年度において行われた検査延べ件数221件中第4位の記録です(2001年度は第15位)。また、日本船の中では1999年以来 約5年半にわたって最高位を続けています。 カナダ政府の検査においても、にっぽん丸は減点なしの100点満点を獲得しました。この検査は、2003年世界一周クルーズの途中、2003年6月30日にバンクーバー港で行われたもので、カナダの公衆衛生局がUSPHと同じ基準で行う検査です。(2003/07/24) 特筆すべきは同レベルの高得点を長期間連続していることであり、これは高度な衛生水準が常時維持されていることの証であって、欧米の名だたる巨大豪華客船も連続しては成し得ていない快挙といってよいでしょう。(たとえばクィーン・エリザベス2世号の最近8回の得点は、新しいほうから93、91、97、93、92、85、90、92で、一度不合格になっています) 就航以来 当社が運航し、2002年4月から日本チャータークルーズ(株)の運航となった「ふじ丸」も、2004年12月の検査において91点をマークしていますが、衛生管理に関しての減点は殆どなく、減点対象となったのは主として未改装のバー設備の不備(即ち日本の衛生規準と米国の衛生規準の差によるもの)に関するものでした。 「にっぽん丸」だけでなく、当社が運航していた「ふじ丸」も連続して高いレベルの得点をマークしていることは、当社(MOPAS)独自の衛生基準を厳しく運用してきた結果が評価されたものと言えるのではないでしょうか。
2005年04月18日 (出典:http://www.mopas.co.jp/news/2005/04/usph.html)
この記事に書かれている事自体は何の問題も無いんですけどね。
問題は上の記事には出ていない、まさにらっ子さんが乗られていた1998年の検査結果なのです。
何点だと思います?
記事の論調から言ったら、悪い点数の訳が無いと思いますよね。
ところが、らっ子さんが記事で書かれている通りで、実は検査は不合格。
なんと旅程変更を強いられるという不名誉な記録を残しているのです。
その点数とは...38点!!!
なんだか上の記事がうそ寒くなりますよね...
他所の会社の船まで腐してるくせに、自分のところの船の不名誉な記録はほっかむりという...
実はこの記事には続きがあって、こんなことも書かれているんです。
2004年6月現在、世界の客船199隻中、95点以上の船が104隻(52%)、91点以上の船が161隻(81%)です。この結果から見る限りは、少なくとも95点以上取っていないと恥ずかしい成績だということになると思います。 鳴り物入りで就航したQM2(クィーンメリー2世)が89点なのが意外ですが、実情をご存知の方は「やっぱり」ということになるのでしょうか。
な〜んて書いちゃってるんですよ...
舞い上がって書いちゃったのでしょうけど、こういう事を書くと後でわが身に降りかかるもので...
実はにっぽん丸、2008年に86点だったんですね...
95点どころかあと1点低かったら不合格です。
なんだかなぁでしょ...
次の記事で1990年以後の不合格船の一覧を載せます。
ちょっとびっくりしますよ...
いや〜、凄い記事ですね!
続きが楽しみです。
cruise_qm2さん、こんにちは。
「えっ、この船が…」
っていうのが出てきますよ…(^^;)
これ、技術者としては難しい問題だと思います。
各国で基準が異なるのでUSPHがアウトだった=衛生管理が悪い。と一概には言えないんですよ。
基準そのものが変化していくこと。
食文化の違い(生卵はサルモネラ菌汚染されているので、日本以外の国は食べません。寿司を素手で握ることもNG!)
食品添加物、薬品(洗剤等)基準の違い。(FDA認可と日本は全く違う)
だから、アメリカ船以外がクリアするのは大変な努力の賜物でしょう。
MOPASのいけ好かない態度は論外なんですけどね…
技術的な話は置いておいて、次の記事を楽しみにしてます(^_^)v
まりさん、こんにちは。
はい、そのあたりは重々承知の上の記事です。
かの地は本音と建前が異なるお国柄ですから。こういう建前の権化のような制度は得意とするところですしね。ただ、USの地へ寄る以上はクリアしなければならないのもこれまた事実ですから…
日本の基準だって外からみればかなりヒドいですよ…島国ですからね…
日本は保護主義、利権、既得権の主張…(某国も同じか…)
まあ、前近代的であります。
MOPASの態度は論外ですけどね(笑)
ふじ丸の名古屋港停泊ランチ会があるようで、どーしようかな〜?と考えてます。
なかなか名古屋港では、そういう機会が無いので…
まりさん、こんにちは。
郵船さんでもアナウンスしてましたね。
お時間があえば宜しいのでは...(^-^)/
MOPASさん、この出来事は典型的な物産体質の現れですね。三菱とはイロイロな意味でやはり違うと思います。まぁ、どちらがどうっていうつもりも無いですが...(^_^;)
早々にトラバを有り難うございます!
大変に詳しい記事を改めて驚きで拝見いたしました。
今から思うと非常に貴重な?体験をしたと思います。
私としてはカナダに一日余計に滞在で来てラッキーと思っていましたが
船客には多大な迷惑をかけてにっぽん丸の反省を促したことになり
多くの貢献をしたことになります。
大変に複雑な心境です。
有り難うございました。
らっ子さん、こんにちは。
いえいえ、こちらこそ良いネタを提供していただきました。
記事でも書きましたが、この件で論争になったこともあるんですよ。
私が今ひとつMOPASさんを肯定できない大きな要因の一つになっている出来事です。
与太爺さん、こんばんは。USの衛生基準は厳しいと我々の業界でも有名です。特にハワイ島は厳しく保険に加入していなければハワイ島では給油が出来ないとかなんとからしいです。
リョウ さん、こんばんは。
ハワイは日本と同じで島ですからね。生態系が閉鎖的な地域は自ずと外来については厳しくなるのが道理です。そうしないと生態系が破壊されてしまいますから。
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