デッキから部屋に戻るときはいつも木製の観音開きの扉を押して「デッキ」と言う屋外から屋内に入る。
この木製の扉は僕のイメージするいかにも「船」のそれだ。
たった1日しか経っていないのに何回このデッキと部屋を行き来した事だろう。
いつもエレベーターを待って9階の僕達を待つ部屋に戻る。
Deck12から15まではガラス張りになっていて視界が開ける。
1日目も終わってしまったかと言う最終日までのカウントダウンに対しての少しの「ため息」の後、眠ってしまって1日が終わる寂しさを繋ぎとめようと真っ暗な海を見るためにベランダに出てみる。
視界には水平線も見えない。
手すりに少しだけ身を乗り出して階下の水しぶきを眺める。
この船がそんなに早く航行していないのがこのしぶきの飛び散る幅で何と無く初心者の僕でもわかるような気がする。
部屋のTVを付けてみる。
無造作にリモコンのボタンを右に左に、上下に動かすとこの船内のインフォメーションと、そういえばDeck5のレセプションフロアーで販売をしていた気がする宝石や装飾品のC Mが目につく。
興味のない僕はリモコンの番号で覚えるのではなく番組?で記憶する。
妙にハイテンションな料理番組。
日本で言うならば昔やっていた「料理の鉄人」。
トーナメント方式のようだ。
他にはこの船の目玉!とでも言おうかフランス料理の『ジャック」(元フランス大統領のプライベートシェフが料理監修)のジャック・ぺパン氏の料理番組だ。
現在の年齢からしたら随分お若い。
多分、10〜15年ほど前の彼ではないだろうか。
言葉が分からなくても楽しめる番組はこの程度しかない。
ほどほど見飽きた僕はうっすらと眠たくなって来た顔を妻とは真逆の方向を向いて部屋の電気を消す。
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