海外発のクルーズ船というのは、本体代金を安くするかわりに、船上での飲食や観光、免税品などの物品などを高く売ることで、利益を上げる仕組みになっています。したがって、限られた予算の中で、少しでもお値打ちな旅を、と考えると、オプションは一切買わないのがベストということになります。実際オプション全くなしでも充分に船旅を楽しむことは可能です。とはいえ、少しのオプション購入でより充実した旅が可能になるかもしれない場面があるのもまた事実で、今回はこのニュージーランド9都市クルーズを中心に、これまで乗船したほかのクルーズも含めて、オプションの買いどころについて考えていきたいと思います。
まずは飲食について、クルーズ中の食事はおおむねどこのクルーズ会社でもクルーズ料金に含まれていることがほとんどです。お金を払っての食事となると、スペシャリティレストランの使用ということになりますが、これまでの経験から言って、同じ船であれば、無料で提供される料理と、スペシャリティレストランの料理とで大きな差があるということはまずありません。もちろん、メニューの好みやダイニングの雰囲気などお金を払うだけの価値がある要素は料理そのもの以外にもあると思いますので、スペシャリティレストランがすべて無価値というわけではありません。ただ、料理は変わらないということは覚えておいていただいて損はないと思います。
次に、飲み物についてですが、クルーズ中の飲み物はカジュアル船ではおおむね有料です。MSCのように、食事時の水まで有料という船もあります。しかし、ほぼ例外なく無料でコーヒー紅茶水等が飲める所がブッフェ等にありますので、水筒を持参して汲みに行けば、有料の飲み物を買わずにある程度凌ぐことは可能です。ただ、無料のコーヒーはお世辞にもおいしいとは言えないものが多いので、こだわるならばここは使いどころと言えそうです。ノルウェージャンクルーズの場合、コーヒー、各種ティーバックのほか、ジュース類もブッフェで汲めました。また、朝はジュースの種類が変わるので、飽きることもないと思います。
次に観光、どこのクルーズ会社でも寄港地の観光ツアーを販売しており、特に力を入れています。主要な観光地へは船の寄港地観光ツアーでほぼ行けると考えていいでしょう。船のクルーズを使えば、出発時間は船の到着時間に合わせて無駄がありませんし、万一渋滞で遅れても船の方で待っていてくれます。なんといっても安心です。ただ、はっきり言って価格はかなり割高です。今回のニュージーランドの場合、どの港でも寄港場所のすぐ近くに観光ツアーのインフォメーションセンターであるアイサイトが設置されており、船の寄港地観光を使わなくても自分で好きなツアーを選ぶことができました。この辺りはさすがは観光立国のニュージーランドだと思います。価格も船の寄港地観光の半額から3分の1程度です。
ただ、今回ここは使いどころだったと思ったところもありました。一つはダニーデン。タイエリ峡谷鉄道に乗りたかったのですが、下船時間にアイサイトに向かったところ、フライングで下船した乗客によって目の前で電車のチケットが売り切れてしまったのです。船の寄港地観光を使うと、価格は3倍になりますが、確実に乗りたければここは使いどころだったと思います。
もう一つはタウランガ。ここではワイオタプ・サーマルワンダーランドに行きたいと思って前々から準備していたのですが、下船時間にアイサイトに向かうと、その日のワイオタプ・サーマルワンダーランド行きのツアーバスはすでに出た後。止むを得ずお勧めという別のツアーに行きましたが、こちらはマオリ文化に関するツアーで、関心のなかった私にはあまり楽しめませんでした。これは寄港地観光の買いどころだったと思います。