帆船スター・クリッパーズ、究極のリポジショニングクルーズ
シリーズ スモールシップフェア2018@東京
スモールシップアライアンスによる、「スモールシップフェア2018」が、2018年3月16日に国際フォーラムでおこなわれた。
総合テーマを「個人クルーズは世界の潮流」とし、スモールシップのこだわりの航路や船内、寄港地での過ごし方が提案された。
登壇者は、株式会社メリディアン・ジャパン代表取締役の荻原久美子(おぎはら くみこ)氏。
1. スター・クリッパーズ日本地区総代理店
(談:荻原氏)
メリディアン・ジャパンの荻原久美子でございます。
昨日までとってもよいお天気だったのに今日は一点、曇り空で雨も降ってましたでしょうか。お寒い中、お足元のお悪い中、沢山の皆様にご来場いただきまして誠にありがとうございます。
私は、今ご覧頂いておりますロゴマークの中にあります、帆船、風を受けてその風を力にして走る、本物の帆船で皆様にクルーズをお楽しみいただいております、スター・クリッパーズ社(Star Clippers)の日本地区総代理店(GSA)を務めております、メリディアン・ジャパンの荻原久美子です。
スター・クリッパーズは2001年からのお付き合いで、私も10回ほど乗船させていただきまして、乗るたびに楽しいクルーズで、本当に多くの皆様がご乗船いただければなというふうに思っております。
直近では昨年の10月にインドネシアのクルーズに、その後はこれから5月にいきます。これは旅行会社さんがチャーターをしてくださった際にグループに一緒に乗せていただくというものを予定しております。
本日は個人旅行のお勧めでございますが、旅行の仕方も色々あります。もし、個人ではなく旅行会社のツアーもいいわ、行ってみたいわという方、いらっしゃいましたら、私も乗船して皆様をお迎えいたしますので、おまけが私で恐縮でございますが、もしよろしければご一緒していただければと思います。
2. スター・クリッパーズの帆船、4隻目建造中
スター・クリッパーズの帆船クルーズは小さな船で運行しております。
今ご覧頂いております、このお船なんですけども白い帆を上げて航行します。いずれもエンジンをオフにして、風の力だけで走ることが出来るお船でございます。
日本のお客様がご乗船いただきますと、たとえば「日本丸」などの練習船(*船舶職員が航海訓練を行う船)を思い浮かべる方がいらっしゃって、「私は甲板をデッキブラシでお掃除するのはちょっと・・・」とかおっしゃる方もおられますが、客船なので大丈夫です。
他のクルーズ客船と同じようにゆったりとお過ごしいただくことが出来ます。また、ご興味のある方は一緒に甲板をデッキブラシでお掃除していただくことも出来ますし、あるいは窓ガラスを磨いていただくことも出来ます。何でも出来ますので、ご自分のお好きなようにお過ごしいただければと思います。
今ご覧いただいております、右側の帆船、これは5本マストの帆船なのですが、全て、5本のマストに横向きの帆が張ってあります。こういう形を、帆船好きな方、専門家の方がいらっしゃるので私がご紹介するのははばかられるのですが、「シップ型」と言います。帆の張り方で船の呼び方が変わってくるんですね。
スター・クリッパーズが保有しております帆船の中で最も大きいお船は「ロイヤル・クリッパー(Royal Clipper)」。
2000年に就航しました。お客様は227名ご乗船いただくことが出来ます。そして総トン数4,425トンでございますので今運行しているクルーズ船の中では非常に小さいサイズ、ただし、帆船としては世界最大のものでギネスブックにも登録されております。
そして左側の4本マストのお船ですが、こちらは1番前だけ横長の帆、あとは縦に三角形の帆が張ってあります。こちらは「バーケンティン」という形でございます。
こちらの左側の帆船は、1991年に就航したスター・クリッパーの同じ形の船として1992年に就航しました「スター・フライヤー(Star Flyer)」です。お客様が170名乗り、総トン数が2,298トンです。本当に本当に小さなお船です。
でもこのお船にはたくさんたくさん楽しいことが詰まっておりますので、皆様には一度ご乗船いただいて、その楽しさを実感していただけたらなと思っております。
そして、現在4隻目を建造中でございます。4隻目が2017年中には出来上がるという予定だったのですが、すこし遅れておりまして、2018年中にはデビュー出来るのではないかなと、もうすぐご予約が受け付けられるのではないかなと思っておりますが、昨年の6月、この帆がない状態、下のお船の部分だけで進水式をおこないましたので、ちゃんと建造は進んでいるようでございます。(4隻目の船名はフライング・クリッパー / Flying Clipperと発表)
実は過去に、スター・クリッパーズ社は2010年位に4隻目の帆船の建造について、契約まで取り付けたんですけども、その後の世界的な経済危機でそれが駄目になり、その計画が暗礁に乗り上げてしまいまして、今改めて待望の4隻目の出来上がりを待っているところでございます。こちら、デビューしましたら夏は地中海、冬はカリブ海でクルーズを展開する予定でございます。
3. スター・クリッパーズのオーナー家族
スター・クリッパーズのご紹介をするのに欠かせないのが、スター・クリッパーズのオーナーです。
スモールシップのクルーズラインはどこもそうなのですが、オーナーの好みや考え方が色濃く反映されます。今までスター・クリッパーズのお船、小さいですよと申し上げました。
オーナーが小さい時から帆船が大好きで、船に囲まれた環境で育って、そしていつの日か皆様に帆船に乗ってクルーズをお楽しみいただきたいと望んでいたものを形にした会社でございます。
小さい頃、このストックホルムの出身のオーナーは親のいないところで、自分で帆船を操縦して、バルト海に停留している船を見に行っていたそうです。
実際に彼はお船を持っていて、これは停留しているお船なんで後ろから撮ったんですけれど、1930年台に建造されたプライベートのヨットをこのように停めていて、休暇時にはこのお船に乗ってクルーズを楽しんでいるようです。
スタークリッパーズのお船に関してはいまご紹介しました通り、オーナーの意向が強く反映しておりますし、今度の4隻目のお船も彼の思いが強く込められております。
サービスの部分は奥様の思いが込められております。
こういったお皿のデザインだとか、あるいはハウスワインのボトルのデザイン、あるいはキャビンの中のインテリア、カーベットの柄だとか、ベッドファブリックだとか、全て奥様の意向のデザインによって揃えられております。
オーナーご家族はお子さんが2人いらっしゃるんですけれど、上の男の子はスター・クリッパーズの財務を、下のお嬢さんは営業全般を担当しております。またお嬢さんは、ロイヤル・クリッパー号の船首に飾られている、フィギュアヘッドというものがあるんですけれど、それのモデルにもなっております。
このように家族総出でスター・クリッパーズ社の運営にあたっております。
4. 小さな帆船へのこだわり
スター・クリッパーズ社のオーナーは、まず帆船であるということにこだわって、それから小さな船であるということにこだわっております。ですので、今度就航する予定の船も小さな船であるということになります。
そして、皆様一緒にお食事をとっていただくということを大事にしていますので、ダイニングは1箇所ということにもこだわっています。
ちょうど先週、名古屋の会場でお目にかかりましたお客様がロイヤル・カリビアンのお船でランカウイ島クルーズに出かけられたときに、たまたまランカウイ島でスター・クリッパーと隣り合わせたんだよ、と教えてくださって、お写真を送ってくださいました。
(写真を見せながら)ご覧頂いてお分かりになりますでしょうか?スター・クリッパーズのお船、見えますでしょうか?背景に溶け込んでしまって、分からないんじゃないでしょうか?かろうじて分かるのがマスト、お分かりになりますか?そしてマストをたどっていくと船体が分かると。
これは先程ご紹介いたしました、2,298トンのお船です。隣に停まっているのが、ロイヤル・カリビアン・インターナショナル社のマリナー・オブ・ザ・シーズです。この大きいお船は、138,000トン、全長310m、そしてお客様の定員は3,114名。スタークリッパーズは先程ご紹介したとおり、最大乗っても227名ですから、何倍でしょうか?計算機が必要なほどですね。
このように大きなお船での過ごし方、寄港地での過ごし方、雰囲気というのと、あるいはこの小さな船170名しかいないお客様が寄港地に降りたときの状況が全く違うというのは、簡単にお分かりいただけるのではないかと思います。
5. 南フランスのセートでシルバー・ウィンド号と
次、これは南フランスのセート(フランス)というところなんですが、スターフライヤーで寄港した際のお写真です。
右側に止まっているのが、スモールシップと言われるシルバーシー・クルーズ社のシルバー・ウィンド号です。このときはモナコからずーっと一緒にクルーズをしていたのですが、この海からデッキまでの距離を比べて頂きたいなと思います。
スタークリッパー号は一番下のコモドア・デッキ、それからクリッパー・デッキ、メイン・デッキ、サン・デッキの4つ。
それに対してシルバー・ウィンド号はデッキの数が6つあるんですね。なので、お客様と海の距離。このあたりも比較できるのではと思って、ご紹介したいと思っておりました。
6. 究極の回航クルーズ(リポジショニングクルーズ)
今日私は、回航クルーズ(リポジショニングクルーズ)についてお話をすることになっておりますが、「回航クルーズ」って聞かれたことありますか?ないですよね。
普段、我々は普通に使っている言葉なので、定義についてはなんとなく知っている気がしていたんですが、皆様にご説明するときになんと説明したらいいんだろう、とちょっと調べてきたんですが、「回航というのは、輸送対象の船そのものを操縦して、輸送対象を移動すること」と定義されています。
つまりは、皆様が神戸で船を降りました。この船は次は東京からクルーズを始めます。神戸から東京まで船を移動しなくてはなりません。この移動のことを回航というんですね。
だいたい、クルーズ各社、夏の間は地中海でクルーズをお楽しみいただきます。そして冬になると、温暖な気候で皆様にクルーズをお楽しみいただくために、カリブ海の方に行くことが多いんです。
その地中海からカリブ海に行くクルーズ、あるいはカリブ海から地中海のベースポートに戻るクルーズのことを「回航クルーズ」というのですが、その中でスター・クリッパーズ社の大西洋横断クルーズこそが究極の回航クルーズではないかなと思っております。
大きなクルーズ会社がどれくらいの期間をかけて、この大西洋横断をするか私はよく分かりませんけれども、さきほどご紹介いたしましたスター・フライヤーは、春はカリブ海からヨーロッパまで20泊かけて移動してきます。そして秋はヨーロッパからカリブ海まで15泊かけて移動してきます。
実は今年の3月31日発のセントマーチンからリスボンまでのクルーズに、女性のお客様が1人でご乗船されるのですが、彼女はセントマーチンからリスボンに到着するまで無寄港のクルーズをお楽しみになるんです。彼女は船の舳先のネットの上で寝るというのが大好きなんです。ですので今回もそれを楽しんできたいとおっしゃっていました。
そして、今ギネスで登録されております世界最大の帆船ロイヤル・クリッパーも春にカリブ海からヨーロッパまで16泊かけて移動します。そして秋にはヨーロッパからカリブ海まで16泊かけて移動します。
スター・クリッパーズのクルーに「春の回航クルーズと秋の回航クルーズ、どっちがいい?」と聞いてみたんですけど、それは好みだから分からないと言われました。
ただ、どうやらヨーロッパの方々というのは、乗るまでの移動に時間をかけたくないそうなので秋の大西洋横断クルーズ(ヨーロッパからカリブ海への回航クルーズ)のほうが予約が混み合っているそうです。
なので、今日はですね、ちょっと前にスターフライヤーの回航クルーズをお楽しみいただきました元ヨットマンの方が先程会場にお見えだったんですが、どこにいっちゃいましたかね?その方なんかに実際に体験談をお伺いして、大西洋横断クルーズの楽しみ方をお伺いして皆様にお伝えできればなと思っておりました。
実際私にしましてもまだ、20泊とか、家に犬がいるので家を留守にすることができないので大西洋横断クルーズは経験しておりませんが、私の「バケットリスト」、つまり死ぬまでに経験してみたいことの中に、大西洋横断クルーズが加わっておりますので、ぜひいつか経験してみたいなと思っております。その時が来ましたら皆様をお誘いいたしますので、ぜひ皆様おいでくださいませ。
今ご覧いただいておりますこの地図も回航クルーズです。
カンヌからバルセロナ、バルセロナからジブラルタルを越えて大西洋に渡っていくという中の一区間、2014年に乗船いたしまして、出発地と下船地が違うクルーズ、これも回航クルーズです。
7. スター・クリッパーズの明朗会計、早期予約割引
船会社としましては同じ船を動かすのでしたら空で動かすよりもお客様を乗せましょうということで、料金が割安に設定されるんですね。そのあたりが非常にお得なんですけれど、スター・クリッパーズの場合は明朗会計でございます。
今、多くの船会社のレートは変動制で、時期だとか予約状況等によって料金が変わってくるのですが、スター・クリッパーズは明朗会計なのでパンフレットに記載されている料金がずーっと適用されるんです。
回航クルーズにつきましては、早期予約割引の率が若干高めに、20パーセントに設定されているんです。なので、たとえば4,000ドルのクルーズであれば、800ドルの割引ができますので、元々の単価が高いのでこのあたりお得になっております。
8. 小さな寄港地、思いがけず素晴らしい景色
回航クルーズというのは元々期待してなかったような寄港地が含まれておりまして、たとえばセートとか、このあたり皆様もご存じないような小さな寄港地が含まれております。
自分から旅行先として選ばれる方はまずいないだろうというような所なんですが、こういったところに非常に魅力的な部分があり、思いがけず滞在が楽しめたということがあります。
さきほど、シルバーウィンド号との比較でご紹介いたしましたセートというところなんですが、車で1~2時間いきますと、空中の城塞都市と呼ばれるフランスのカルカッソンヌという世界遺産の観光地に行けるんです。
これはトゥールーズから車で1時間ほどのところなのでお出かけになられた方もいらっしゃるのではと思います。こういったところにも行ける寄港地なんですが、セートは運河の街で、シーフードが美味しく牡蠣やムール貝が養殖されています。
牡蠣の稚貝は日本から来てるんだよ、などと教えてもらって、あぁこんなところにまで日本の牡蠣が来ているのかと考えたりして、牡蠣などのシーフードも堪能させていただきました。
この水辺の景色を上から見下ろすと、赤いレンガの屋根がとてもかわいらしくて、素晴らしい街でした。こんな景色も楽しんでまいりました。
また、この次の寄港地がポール=ヴァンドルという所でしたが、ここは本当にスペインとフランスの国境の街でして、スター・フライヤー号は喫水が浅いので地元の漁船などが停まっている港のすぐ近くに停める事ができるのです。
一応クルーズパッセンジャーカードを使って、入国審査の手続きは必要です。また、こちらでは街を巡る小さな黄色い電車が出ておりまして、港の前の丘の反対側まで行くことができます。大きなおじさんたちも楽しそうに乗っててとても微笑ましかったです。この電車でコリウールという港町まで行けまして、こちらもよく船が停泊する港だそうです。
マーキュリーさんが扱っているシードリームもこのあたりに寄港するそうです。
このように思いがけず素晴らしい景色が待っているんですね。港の反対側は小高い丘になっていて、ぶどうの季節にはワイン畑がとてもきれいで本当に素晴らしい景色との出会いがあったなと思えます。
9. インターナショナルなクルー
船に帰ると、海がきれいなのでヒトデが採れるみたいで、クルーがヒトデがあったんだよと見せてくれたりするんですね。最後船が出港するときには地元の方々が見に来てくださったり、とっても心にぐっとくる旅ができます。
スタークリッパーズは皆様が船に乗っているときには帆を張っている姿をお写真に撮ることができないので、クルーズ期間中に1回みなさんをテンダーボートに乗せて、帆を満帆に張っている姿をお写真に収めていただける機会を作っております。
風がないときというのは帆が風を受けずにしわしわになるんですが、実際に私が以前にインドネシアクルーズに乗船した際に写真を撮りましたが、インドネシアは風が良いということでキャプテンも喜ぶくらい、満帆に帆を張る姿を撮ることができました。
インドネシアクルーズに乗船した際には、ポーランド人のマリオスというキャプテンだったんですが、3隻のクルーズを運行するために現在は5名のキャプテンがいるそうです。3名がロシア人、2名がポーランド人だそうです。
クルーはインターナショナルなんですが、ダイニング、キャビンはロシア人、そしてフィリピン人の方が多く、帆を上げたりデッキまわりの仕事をする方はインド人が多いかなという気がします。オフィサーはロシア系、東欧系の方が多いと思います。
実際に乗船したときのお話なのですが、エンジンをオフにして走ると非常に静かで穏やかな朝を楽しむこともできました。
スタークリッパーズは操舵室が24時間オープンなんですね。中に入っていただきたくないときには進入禁止のロープが張られるのですが基本的にはいつでも入って大丈夫です。
赤いベストを着た水先案内人が乗ってきて、彼の指示で入港する様子とか、そういったことも本当に手の届きそうな距離で見ていただくことだってできます。こんなところも、帆船に乗っているということを実感していただけるクルーズだと思います。
10. 日本人コーディネーター乗船コース
最後になりますけれども今年の9月22日発地中海、来年の1月12日発の東南アジアのクルーズ、これらのコースが日本人コーディネーターが乗船することになりました。
旅行会社さんのツアーになりますと、どうしても割高になってしまいますが、日本人コーディネーターが乗船する日を選んでいただくと、船代と航空券、前泊後泊分の実費だけでご利用いただけるのでお勧めでございますが、ロイヤル・クリッパーの地中海クルーズは大変人気で昨日の段階でキャビンの残りが少なくなっております。
もし、日本人コーディネーターが乗船するなら個人でも乗船したいなと思われる方がいらっしゃいましたらぜひお早めにご検討ください。こちらは私でない方にコーディネーターとしてご乗船して頂く予定です。
それから東南アジアのクルーズの方はまだ空きがございますが、バスタブ付きのカテゴリーはいっぱいになっておりますのでお早めにご検討ください。こちらは私が参ります。
このような形で、旅行会社さんのツアーでおでかけになられる方はもちろん、個人旅行も応援してまいりたいと思いますのでぜひスター・クリッパーズの帆船クルーズをご検討いただきまして、いつの日かご一緒させていただければ嬉しいなと思います。
皆様長い間ご清聴いただきましてありがとうございました。
※ 記事内に紹介されているクルーズ船や寄港地の情報については、記事執筆者の経験や情報収集に基づいた参考情報であり、実際の内容と異なる場合や、内容が変更されている場合があります。
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